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レンズの先

同じものを見ているはずなのに
写真にすると世界が違った

私の見る世界は現実的で
そこにある物が当然映るのだけど
彼女が映し出す世界は、幻想的で美しかった
同じものなのに、儚かった

同じ夏空を見上げては
「キレイな空だね」って言うと彼女は
「私には、ちょっと切なく見える」って答えが返ってくる。
私のレンズが捉えるのはただの青、
無垢で広がる空が、私の視界にはただの空虚として映る。

けれど、彼女のレンズが捉えた空は、
夢の中に広がる青さの中に
深い海の底のような静けさを孕み、
それは儚く、美しい幻想。

夕焼けの光が頬をかすめると、
私には過ぎ去る時間の暖かさが、
彼女のレンズには永遠の沈黙が映る。
色は同じでも、感じるものは違う。

同じ海の波も、私には煌びやかな光に見えても
彼女にはそこに無限の物語が漂い
彼女のレンズはシャッターを押す

同じものを見ているはずなのに、
その中に映る世界が違って
その違いが、何よりも豊かで美しいと、
心の奥で感じる。

そんな風に見える世界は
きっと楽しいだろうな

あとがき
例えば空の写真を撮って、それをSNSにあげてみるんだけど
あの子が載せた写真は、同じ空だけどとても美しく見えた。
海の写真も、トンボの写真だって。なんだってエモくて。
あまりの美しさに思わずいいねを押す。

きっと私とは違った世界が見えているに違いない。
レンズ越しに彼女の世界を覗いてみた。

同じ世界を、レンズ越しに見ると違う世界をみえるかもしれない。
あなたの世界はどんな世界なんだろう。

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SAI - 青の世界と物語
儚く/美しく/繊細で/生きる/葛藤/幻想的で/勇敢な 詩や物語を作る糧となります