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冷たき風
冬の風は冷たく、私の頬を刺すように吹き抜ける。
まっすぐ届くその冷たさに、
人は顔を背けるけれど、
私はただ立ち止まっていた。
どこまでもストレートに、隠すことなく吹き渡る風。
その刹那の冷たさに、生きやすいと感じてしまった。
裏もなく、影もない。
ただ透明なその風は、息苦しい空気を払い、
私の胸を軽くしてくれる。
暖かいふりをする空気より、
その冷たさのほうが正直だと気づいたとき、
私は少しだけ自由になった。
冬の風は冷たい。
けれど、その冷たさこそ優しさなのだと、
私はようやく知ることができた。
冷たき風よ、
そのままでいてほしい。
偽りの暖かさではなく、
本当の温度で私に触れてほしい。
あとがき
いつも人に冷たくて、ストレートに言ってしまう人がいた
周りの人からは少し距離があったが、私はスキだった
周りのようにうわべだけの優しさじゃなくて
ちゃんと伝えてくれるから
私が変われた一つのきっかけとなった人だった。
その人は今でも人間らしい温度を纏っている。
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