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2017年9月の記事一覧
ポラロイド【掌編小説】
ベッドの上にはまだ男の跡が残っていた。シーツの皺や、汗の湿り気が朝方までここにいた男の存在を示していた。起き上がって下着を身につけ、窓から無遠慮に入ってくる夏の光線を鈍い頭でずっと見ていた。
床には憶えの無いポラロイドカメラが転がっていた。きっと男が忘れていったのだった。手に取ってシャッターを切るとフラッシュが焚かれた。薄暗い部屋が写真一枚分の時間、白くなった。吐き出されたフィルムに、昨夜の名
ペンギンの夢【掌編小説】
眠りに落ちると私はまた夢の中でペンギンに生まれ変わっていた。
南氷洋の水は密度の濃い碧色で、分厚い雲のような氷の下を私は仲間達と泳ぐのだ。
ペンギンは悩める哲学者である。
その悩みとは詰まるところ「鳥であるのに飛べない」という一言に尽きる。
ペンギンたちはそのアイディンティティの欠如、コンプレックスと向き合う煩悶、絶望と希望の輪廻に身をシロクロさせながら、氷の海を泳ぎ続けるのである。
実