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いま『会って話すことの大切さ』


1.はじめに

私はこれまでたくさんの上司に仕えてきました。

その中で、直接の上司ではないのですが、いつも遠目から見ていて「かっこいいな」と思える方がいました。

ここでは、別府さん(仮名)で呼ばせていただきます。

今、リモートワークも進み、仕事のほとんどがメールやチャットになっているかと思います。

電話や直接話し合う機会はタイパが悪く、避けられている傾向がありますが、「会って話すことの大切さ」、「顔の見える関係を作っておくことの大切さ」を教わり、私が仕事で実践していることを紹介させていただきます。

別府さんは当時、課長を支える立場にいた方で、何か面倒事が起きると対応に当たり、部署の垣根を越えて意見をとりまとめたり、調整する、皆がやりたがらない激務の役職に就いていました。


2.あこがれ

(1)出会い

出会いは数年前です。

出張である課に挨拶に行ったときに、少し待ち時間があって座っていたところを、「すごい緊張しているね」と笑顔で話しかけてくれたのが初対面でした。

その次の異動で私はその課に配属になり、担当は別でしたが、別府さんが見える位置に座ることになりました。

私は基本的に一番早く出勤していましたが、大体部屋の電気がついているときは、別府さんが疲れた様子で仕事をしていました。

(2)コミュニケーション

それでも、毎朝みんなが出勤し始めると、笑顔で声をかけて歩き回っていました。

私の前を通るときも、「スーツ暑くないの?」とか「髪切った?」など必ず何かしら話しかけてくれました。

それは私だけではなく、お菓子を持って色々な課に行き、配りながらコミュニケーションをとっていました。

そして、いつも「暇だ」「やることないから歩いている」と言っていました。

段々と私は、「この人はなんでいつも歩いているんだろう」と思うようになりました。

面倒事が起きたとき、別府さんは率先して一番つらくて皆が避ける部分の仕事を引き受けていました。

時々、疲れている様子で「怒られちゃったよ」と言うこともありました。
ただ、そんなときも笑っていました。

(3)理由

しばらくすると、私の前を通り際に、自身の立場や動機を教えてくれるようになりました。

そこで教わったことは、「何かあったら色々な課にお願いをする立場になる」、「普段から話を聞いておくことで何かあったときスムーズになる」、「直接会って話した方が伝わることがある」といったことでした。

ひとたびトラブルが起きると、あっちこっち走り回り、皆の話を聞き、正確な情報を上司に報告しており、何かあったとき、別府さんには自然と情報が集まる仕組みが整っていました。

それは、“そういうもの”ではなく、普段から会って話し、顔の見える関係があるからこそのスムーズさがありました。

普段から忙しそうな姿と楽しそうな姿を見ていた私は、“別府さんだから”出来ていることであり、「自分には絶対に無理だ」という気持ちと「あの係で働いてみたい」という気持ちが交錯し始めました。

迷った挙句、別府さんへの憧れが勝り、その係を希望することにしました。

3.自分の番

数年後、その係ではなく、もう一階層上のとりまとめ係の辞令が出ました。

ただ、その係とはカウンターパートとなるため、少しだけ希望が叶った形となりました。

絶望感とともに、別府さんのように振る舞い、がむしゃらに働こうと思いました。
 
このとき、自分の中で決めたことは4つありました。

①「忙しい」「無理」と言わない。

至急案件対応中を除けば、何か仕事を抱えていても電話、訪問は手を止めて受けていました。

これは、自分に相談にくる案件は、自分か係長しか対応できないことなので、断るとその人の仕事が止まってしまうためです。

だからこそ、平気そうな顔をして「余裕を見せる」という振る舞いもしていました。
 
これは、かなり効率が悪いですが、その人の不安を取り除くことも役割だと思っていたので、自分の仕事は常に後回しにしていました。(妻、子どもたち、ごめん)

廊下ですれ違う同僚に「忙しい?」「大丈夫?」と言われても別府さんの受け売りで「暇だよ」と答えていました。(終電ばっかだったけど)
 
ただ、「忙しそうで声をかけられなかった」と何度も言われたことがあり、話しかけるなオーラを出していたつもりはないですが、そう感じられていたのであれば、反省です・・・

②とにかく一番に出向く

フットワークは常に軽くいよう。
座して待つことはしませんでした。
「なんで来たの?」って言われたこと、思われていたことも多々ありましたが、後々面倒事になることには、最初から顔を突っ込んでおいた方が良いとつくづく実感しました。

③皆が嫌がることは率先して行う

これは事故(サンドバック)案件ばかりです。

怒られることを承知で行くので、身も心も砕けそうになり、「なんで俺なの」って年に300回くらい思っていました。

でも、身代わりは一番感謝されることでもあります。

この一年でガラスのハートが勝手に強化ガラスにアップデートされました。(つまりヒビは入ります)

④普段から雑談をするようにする

これは、別府さんを見てから常に心掛けており、自分がその立場になったとき、困ったことがあると、どこの誰に聞けば良いか分かっていたのでかなり有効でした。

分からないこともすぐ聞けますし、私が通常であれば知り得ないことも色々教えてもらえたりしたものです。

別府さんが仕事で何度か私のところに来たときも、以前と同じように気さくに話しかけてくれます。

「忙しそうだね」と言われ、私が「めっちゃ暇です」と嘘をつき、二人で笑い合えたのが、少し同じ土俵に立てた気がしてすごく嬉しかったことを思い出します。

4.おわりに

冗長になってしまいましたが、苦難の一年を終え、異動することになりました。

憧れの別府さんには程遠く、色々な人とぶつかってしまい、自分の力不足をまだまだ感じました。

最終出勤日に別府さんのところに行き、ずっと伝えたかった「別府さんに憧れて〇〇係を希望しました」を直接伝え、またどこかで働きたいと握手しました。

別府さんの仕事に取り組むスタイルは、今でも、私のスタイルにたくさん取り入れています。

時代は変わりつつありますが、今後も人と人との繋がりは大切にしていきたいと思います。

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