令和6年予備試験論文式試験刑法再現答案
第1、甲の罪責
1、甲が本件ケースを拾い上げて自己のズボンのポケットに入れた行為に、窃盗罪(刑法(以下略)235条)が成立しないか。
(1)「他人の財物」とは、他人が占有する他人の所有物をいう。占有の有無は、事実としての占有の有無、占有意思の有無から判断する。
ア、たしかにAは本件ケースを落とした事に気付かないうちに甲にこれを拾われている。また、甲が本件ケースを拾い上げたとき、Aがいた場所と第1現場との間には建物が存在し、相互に見通すことはできない状況にあったし、両場所間の距