『未来』2024年11月号詠草
薄まったグリーンティーを飲み干して手帳に記す今朝の気温を
海鳴りに遠いキッチン二日目のビーフカレーを鍋にねむらせ
陶磁器のような横顔見せたのち野うさぎあおい茂みの中へ
木漏れ日と木陰に満ちる朝の道 うさぎに吠える犬を牽きつつ
まだ夢のつづきの夢にいるように凌霄花の樹下のはなやぎ
みずいろの切手を選ぶWeb記事のダムに沈んだ村を思いつ
ゆうぐれの森に潜むという音叉 その銀色をそっと打ちたい
水たまりにつぎつぎ浮かびくる泡よ七月の野に雨深くあり
目を閉じてこころを閉じて聞く夜のA