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『未来』2024年9月号詠草

『未来』2024年8月号詠草
祝日のたびに花火を売るバスは訪う 夏は近づいていて
手花火も打ち上げ花火も並びいるコックピットのような車内に
ひと束の手持ち花火をはつなつの類義語として買い求めたり
夜の窓ひろく開いて涼風と花火のにおいを部屋に招いた
恒星のならびを思う一つひとつ食器を食器棚に戻せば
歯の抜ける夢、明け方にみたのちに寝ぼけまなこで飲む檸檬水
外界と部屋を隔てるいちまいのカーテンが生むひかりの領土
はつなつを留めるように桜桃を食めばひとりの朝のしずけさ
草木に人格あれば紫陽花の話すしぐさはおだやかだろう
追うほどに遠ざかってゆく逃げ水や月、しんきろうそしてサーカス

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