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『未来』2024年7月号詠草

『未来』2024年7月号詠草

月光に冷えたフルート吹くひとの世界を綴じるような息継ぎ
四月にも夜は寒くてカモミールティーのカップをふうふうと吹く
メタファーが繰り返される映画に羽ばたくしぐさをする主人公  ※映画=ムービー
親密な場面の曲のあかるさはのちの別れの暗示となれり
昼のあかり夜のあかりを引き連れて気だるげにジョン・トラボルタ踊る
結末に向けて惨さを加速するヴィランのように春の夕暮れ
ひとしきり夕刻を待つヴェランダに破滅はときにうつくしいこと
植物になるなら何がいいとかの会話を、春の森歩きつつ
飛ぶ鳥の影は手元を横切って会えなくなったひとを思い出す
アイロンでリネンのシャツをなぞるとき立ち上がってくる日々の記憶は

『パルプフィクション』のダンスシーンすごくいいよね…。

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