まいにち易経_0106【天地の秩序:宇宙を紡ぐ乾坤の法則】天は尊く、地は卑くして乾坤定まる。[繋辞上伝:第一章]
天尊地卑。乾坤定矣。卑高以陳。貴賤位矣。動靜有常。剛柔斷矣。方以類聚。物以羣分。吉凶生矣。在天成象。在地成形。變化見矣。
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
易経に「天は尊く、地は卑く」という言葉があります。これは、天と地の位置関係を象徴的に表しています。天は高く、地は低い位置にあります。この位置関係は、ただの物理的な高さを示しているのではなく、天と地がそれぞれの役割を持っていることを示しているのです。
天は「乾」と呼ばれ、これは陽、すなわち能動的で創造的なエネルギーを象徴しています。一方、地は「坤」と呼ばれ、陰、すなわち受動的で育む力を象徴しています。この二つの力がうまくバランスを取ることで、宇宙や自然、そして私たち人間社会が安定し、調和が保たれるのです。
では、これをどうやってリーダーシップに活かせるか考えてみましょう。皆さんは、これから多くの人を導き、様々な困難や挑戦に立ち向かうことになるでしょう。その中で、天のように能動的に決断し、行動することが求められる場面もあれば、地のように受動的に人々を支え、育てることが重要な場面もあります。
例えば、組織が新しいプロジェクトに取り組む際、リーダーは天のように先頭に立って道を切り開く必要があります。ここで重要なのは、ただ行動するだけではなく、その行動がどのような影響を及ぼすかをしっかりと考えることです。自分の決断が組織全体にどのように影響を与えるのか、長期的な視点で見極めることが求められます。
一方、チームが困難な状況に直面したとき、リーダーは地のようにその場を受け入れ、チームメンバーを支えることが必要になります。ここでのリーダーシップは、相手を理解し、彼らが成長できるようにサポートすることです。たとえば、若いメンバーが失敗したとき、その失敗を責めるのではなく、その経験から何を学べるかを一緒に考え、次のステップへと導く役割を果たすのです。
易経は、こうしたバランスの重要性を強調しています。リーダーとして、能動的であることと受動的であること、その両方を適切に使い分けることが求められます。これを理解し、実践することで、皆さんはより良いリーダーになれるでしょう。
また、易経には「天と地」という視点だけでなく、「変化」という概念も重要な要素として含まれています。世の中は常に変化しており、その変化に柔軟に対応することが求められます。リーダーとしては、変化を恐れるのではなく、それを受け入れ、自分自身や組織をその変化に適応させていくことが重要です。
私が企業のトップに立っていた時代を振り返ると、変化に対応することの難しさを何度も感じました。しかし、易経の教えを思い出しながら、どのようにしてその変化を受け入れ、乗り越えていくかを常に考えていました。それが、組織を安定させ、成功へと導くカギであったと確信しています。
最後に、易経からもう一つ重要な教えをお伝えしたいと思います。それは、「中庸」の精神です。中庸とは、極端に走らず、バランスを保つことです。リーダーシップにおいても、このバランス感覚が非常に大切です。たとえば、厳しさと優しさのバランス、仕事と私生活のバランス、リスクと安定のバランスなどです。これらのバランスを上手に取ることで、長期的に見て持続可能なリーダーシップを発揮することができるでしょう。
皆さんはこれから、多くの挑戦に直面することでしょう。しかし、易経の教えを心に留めながら、その挑戦を乗り越えていってほしいと思います。天のように高い志を持ち、地のようにしっかりと人々を支える。変化を恐れず、中庸の精神でバランスを保つ。これが、真のリーダーシップだと信じています。
皆さんの未来に、無限の可能性が広がっていることを心から願っています。共に、素晴らしい未来を創り上げていきましょう。
参考出典
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