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まいにち易経_0914【易わる~変わるからこそ輝く】生生これを易という。[繋辞上伝:第五章]

生生之謂易。成象之謂乾。效法之謂坤。極數知來之謂占。通變之謂事。陰陽不測之謂神。

生々せいせいをこれえきう。しょうすをこれけんと謂い、法をいたすをこれこんと謂う。すうきわらいを知るをこれせんと謂い、へんに通ずるをこれことと謂い、陰陽はかられざるをこれしんと謂う。

この一節は、一陰一陽の道を具体化した易についての定義を示している。
法は造化の結果、目に見える形で現れるもの。効はその表れ。
事とは占いに基づいて行動することである。天地が絶え間なく物を生み出す働きが易であり、その理は天地の理に従う。易を構成する数や卦爻についても、数が爻を生み、爻が卦を生み、卦が占を生み続けることから「生々」と称される。造化の初め、まだ具体的でない象形を形成するのが乾であり、具体的な形を示すのが坤である。
数の機能を最大限に発揮して未来を予知するのが占であり、その結果をもとに行動するのが占断後の事である。陰陽の変化は予測不可能であり、これが易の神秘である。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

まず、「生生之謂易」という言葉から始めましょう。これは「生々しい」という意味ではありません(笑)。「生み出し続けること、それが易である」という意味です。

自然界を見てください。春になると草木が芽吹き、夏に花が咲き、秋に実りをもたらし、冬に眠りにつく。そして、また春が来る。でも、去年の春とまったく同じ春はありません。毎年少しずつ変化しながら、新しい命が生まれ続けています。

これは、私たち人間の人生や仕事にも当てはまります。毎日同じことの繰り返しのように見えても、実は少しずつ変化しているのです。その変化に気づき、適応していくことが大切です。

私が経営者だった頃、新しい事業を始めようとしていました。当時のデータだけを見れば、その事業には将来性がないように思えました。でも、社会の変化を読み取り、5年後、10年後の需要を予測した結果、その事業に賭けることにしたのです。結果的に、その決断は正しかった。会社の新しい柱となる事業に育ったのです。

ビジネスの世界で言えば、どんなに計画を立て、準備をしても、予期せぬことは必ず起こります。良いこともあれば、悪いこともある。それが「陰陽」です。

例えば、私が経営していた会社で、ある時突然の災害に見舞われたことがありました。工場が被災し、生産がストップしてしまったのです。これは「陰」の出来事でした。しかし、この危機を乗り越えるために社員一丸となって努力した結果、かえって組織の結束力が高まり、その後の業績向上につながったのです。これは「陽」の結果と言えるでしょう。

最後に、私の座右の銘をお伝えして、今日のお話を締めくくりたいと思います。「不易流行」という言葉です。これは、松尾芭蕉の言葉として知られていますが、実は「易」の考え方にも通じるのです。

「不易」とは、変わらないもの。企業で言えば、理念や価値観がこれにあたるでしょう。一方、「流行」は、時代とともに変化するもの。製品やサービス、ビジネスモデルなどです。

優れたリーダーは、この両方のバランスをとることができる人です。変わらない軸を持ちながら、常に新しいものを取り入れていく。そんな姿勢を、皆さんにも身につけていってほしいと思います。


参考出典

易わる
天地は無窮の営みを続け、途切れることがない。またそこから万物が生じる。
春夏秋冬は規則正しく巡り、冬が終われば、また新たな春がやってくる。同じ時は再び訪れることはない。
生じるものは常に新たであり、またそこから新たなものが生じる。このような窮まりない変化を「易」という。
我々人間も日々の変化あってこそ、生き生きと生きていける。

易経一日一言/竹村亞希子

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