
まいにち易経_1028【すべては「仁」に始まる】
文言曰、元者善之長也。亨者嘉之會也。利者義之和也。貞者事之幹也。 君子體仁足以長人。嘉會足以合禮、利物足以和義。貞固足以幹事。君子行此四徳者、故曰、乾元亨利貞。
文言に曰く、元は善の長なり。亨は嘉の会なり。利は義の和なり。貞は事の幹なり。 君子は仁を体すればもって人に長たるに足り、会を嘉すればもって礼に合するに足り、物を利すればもって義を和するに足り、貞固なればもって事に幹たるに足る。君子はこの四徳を行う者なり。故に曰く、乾は元亨利貞と。
「元」は万物の始まりを意味する。季節に当てはめるなら「春」に相当し、すべてが芽吹き、新たに始まる時期。
人間の道徳に置き換えると「仁」にあたる。慈しむ心は善の根本であり、他者を思いやり、愛情をもって育てる行為。
ここには私利私欲がなく、見返りを求めることもない。これを仁愛の精神と呼ぶ。仁を身につけることで初めて、人々を導く存在、すなわち「人の上に立つ者」となれるのだ。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
「仁」とは、大きな愛や思いやりを意味します。これはただの感情ではなく、行動として現れるものです。皆さんも日々の生活や仕事の中で感じることがあるでしょう。例えば、家族や友人が困っているとき、自然と手を差し伸べたくなる気持ち、それが「仁」の始まりです。
仁愛の精神とは
仁愛の精神とは、私心を持たず、見返りを求めない愛のことです。この精神は、他者を慈しみ、支える心です。例えば、親が子を育てる時の無償の愛、教師が生徒を指導する際の献身的な姿勢がその一例です。これらは見返りを求めることなく、ただ相手の成長や幸せを願っての行動です。
家庭での仁愛
家庭において、仁愛は家族への思いやりや養いに現れます。家族は最も身近な他者であり、そこで育まれる愛と信頼は他のどんな関係よりも強いものです。例えば、両親が子供に与える愛情や、兄弟姉妹がお互いを支え合う姿がそうです。この無条件の愛こそが、家庭の基盤を支えています。
仕事での仁愛
職場でも同じように、仁愛の精神が重要です。職場では、同僚や部下への思いやりが求められます。これは、ただ単に仕事を円滑に進めるためだけではありません。人間関係の基盤としての信頼と尊重が、チーム全体の士気を高め、最終的には組織全体の成果にもつながります。
例えば、皆さんのリーダーシップが試される場面で、部下が困っているときに手を差し伸べる、あるいは意見を尊重することが大切です。このような小さな行動が積み重なることで、信頼関係が築かれ、強固なチームが生まれます。
社会での仁愛
さらに大きな視点で考えると、社会全体に対する貢献も「仁」の一部です。私たちは社会の一員として、他者と共に生きています。社会活動において、まず大切なのは、人を思いやり、社会貢献に励み、社会の責任を担うことです。ボランティア活動や地域社会への参加などは、その一例です。
仁を体得することでリーダーになる
仁愛の精神を体得することが、真のリーダーになるための第一歩です。リーダーシップとは、単に指示を出すことではありません。人々を導くためには、まず自分が他者を思いやり、助けることができる存在でなければなりません。
歴史上の偉大なリーダーたちも、この仁愛の精神を持っていました。例えば、ガンジーは非暴力の信念を貫き、人々の心を動かしました。彼のリーダーシップは、愛と平和への深い思いやりから生まれたものです。
具体的な実践方法
では、具体的にどうすればこの「仁愛の精神」を身につけられるのでしょうか。いくつかのポイントをお伝えします。
他者の立場に立つ:他者の気持ちを理解し、共感することから始めましょう。日常の会話の中で、相手の話をよく聞き、その立場に立って考える習慣を身につけることが大切です。
小さな思いやりの実践:小さなことから始めると良いでしょう。例えば、道を譲る、困っている人に声をかける、感謝の言葉を忘れないなど、日々の生活の中で思いやりの行動を心がけることです。
社会貢献活動への参加:地域社会やボランティア活動に参加することで、他者への思いやりを実践する機会を増やしましょう。自分の時間や労力を他者のために使うことが、仁愛の精神を育てる大きな一歩となります。
終わりに
皆さんが将来のリーダーとして社会に出て行くとき、この「仁愛の精神」を持って行動することが、真のリーダーシップを発揮するための鍵となります。人を思いやり、支え合うことで、より良い社会を築くことができるでしょう。
今日は、この「仁愛の精神」についてお話ししましたが、これは決して難しいことではありません。日々の小さな行動の積み重ねが、やがて大きな変化を生むのです。皆さん一人ひとりがこの精神を大切にし、実践していくことで、より良い未来が開かれることを願っています。

参考出典
仁
「仁」とは大きな愛、思いやりである。
人間は一個人だけでは生きられず、ともに助け合って生きている。家庭においては、家族への思いやりと養い、仕事においては、社会貢献や社会的責任も「仁」に含まれる。
社会活動において、まず大切なのは、人を思いやり、社会貢献に励み、社会の責任を担うことである。
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