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まいにち易経_0301【変化の美学:易経が教える栄枯盛衰の真理】易なればすなわち知り易く、簡なればすなわち従い易し。[繋辞上伝:第一章]
易則易知。簡則易從。易知則有親。易從則有功。有親則可久。有功則可大。可久則賢人之德。可大則賢人之業。
易なれば知り易く、簡なれば従い易し。知り易ければ親あり。従い易ければ功あり。親あれば久しかるべく、功あれば大いなるべし。久しかるべきは賢人の徳、大いなるべきは賢人の業。
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
まず、「易」という言葉の意味からお話ししましょう。「易」とは、「変化」を表します。私たちの人生も、ビジネスの世界も、常に変化の連続です。この変化を理解し、受け入れることが、成功への第一歩なのです。
易経の根本にある考え方は、陰陽説です。これは、世界のすべてのものが相対する二つの要素から成り立っているという考え方です。例えば、昼と夜、明るさと暗さ、強さと弱さなどです。これらは対立しているようで、実は互いに補完し合っているのです。
この陰陽の考え方を基に、易経は自然の摂理、つまり自然界の決まりごとについて教えてくれます。春夏秋冬の移り変わりや、日や月の巡りなど、自然界のリズムに従って、すべてのものが変化していくのです。
さて、この自然の摂理は、私たちの人生やビジネスにも当てはまります。歴史を見ても、強大な帝国が興り、そして衰退していく様子が見られます。企業でも、一時は栄えても、時代の変化に対応できずに衰退してしまうケースがあります。これが「栄枯盛衰」と呼ばれるものです。
私が若いころ、ある大企業に勤めていました。その会社は、新しい技術で急成長し、業界をリードする存在になりました。しかし、成功に酔いしれ、新しい変化に対応できなくなってしまったのです。結果、競合他社に追い抜かれ、苦境に立たされました。この経験から、私は「変化に対応する重要性」を学びました。
易経の教えは、このような変化を理解し、それに適応することの大切さを説いています。成功している時こそ、次の変化に備える必要があるのです。逆に、苦境にある時は、それを乗り越えるチャンスが必ず来ることを信じることが大切です。
ここで、もう一つ興味深い例えをお話ししましょう。皆さんは、竹について知っていますか?竹は、地下で何年もかけて根を張り、栄養を蓄えます。そして、ある時突然、地上に芽を出し、驚くべき速さで成長します。これは、私たちの人生やキャリアにも通じるものがあります。目に見える成功の前には、必ず地道な準備期間があるのです。
易経の教えは、このような変化の法則を「易しく知りやすい」形で示しています。つまり、難しい理論ではなく、誰もが理解し、日常生活で実践できる知恵なのです。
例えば、チームを率いる立場になったとき、この教えをどのように活かせるでしょうか。チームの中には、さまざまな個性や能力を持つメンバーがいるはずです。陽の性質を持つ積極的なメンバーもいれば、陰の性質を持つ慎重なメンバーもいるでしょう。リーダーとしての役割は、これらの異なる特性を理解し、バランスよく活かすことです。
また、プロジェクトの進行においても、この考え方は役立ちます。順調に進んでいる時こそ、次の困難に備える必要があります。逆に、行き詰まっているときは、そこから抜け出すチャンスが必ず来ることを信じて、準備を怠らないことが大切です。
ここで、もう一つ面白い例を挙げましょう。皆さんは、株式市場について知っていますか?株価の動きは、まさに易経が教える変化の法則を体現しています。上昇トレンドの中にも下落の兆しがあり、下落トレンドの中にも上昇の芽があるのです。成功している投資家は、この変化の法則を理解し、先を読む力を持っています。
易経の教えは、このように広範囲に適用できます。個人の人生設計から、組織の運営、さらには経済や政治の動向を理解する上でも、この原理は役立つのです。
しかし、ここで注意してほしいことがあります。易経は、単なる占いや予言の道具ではありません。それは、変化の法則を理解し、それに適応する智慧を教えてくれるものなのです。未来は完全に予測できるものではありませんが、変化の兆しを察知し、それに備えることはできるのです。
参考出典
栄枯盛衰の道理
「易」とは変化を意味する。易経の思想は陰陽説を根本として、すべての事象は春夏秋冬、日月の巡りの自然の摂理にしたがって変化するとしている。
これをもとに歴史、政治、経済、組織、個人の人生に至るまで、あらゆる事象に通ずる栄枯盛衰の変化の道理を説く。
易しく知りやすい、簡略な原理原則である。誰もが日常に用いて、従い行うことができる教えである。
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