見出し画像

組織の『転換点』をつくる。琉球ウェルネスの「Wellness Offsite」

琉球ウェルネス広報担当のサオリス・ユーフラテスです。今年5月に、琉球ウェルネスのメイン事業である法人向け「Wellness Offsite」の事業責任者である福地美咲さんと、体験設計責任者の川人ゆかりさんに、「Wellness Offsite」の舞台裏についてお話をうかがいました。そこから約3カ月を経て、変化感や改めて感じていることをうかがいました。

5月のインタビュー記事はこちらです
「Wellness Offsite」体験設計責任者:川人ゆかりさん
https://note.com/ryukyuwellness/n/n929473ea91b5
「Wellness Offsite」事業責任者:福地美咲さん
https://note.com/ryukyuwellness/n/n7b423e3ac652


組織変革をサポートする「Wellness Offsite」

ーー今年5月に「Wellness Offsite」についてお話をうかがいました。当時と比べて変化を感じていることはありますか。

福地:1年前に主力サービスでもある「Wellness Offsite」をリリースし、多くのお客様にサービスを提供してきたなかで、琉球ウェルネスとして1番価値を提供できるお客様のイメージがより明確になってきました。

具体的には、「30人、50人、100人の壁」に直面している企業です。社長がワンストップで経営している段階から、組織の拡大期に差し掛かっているフェーズにおいて、初期段階では、経営者の意思が社員に直接伝わりやすい「文鎮型組織」が機能します。しかし、事業が成長し組織が拡大していくと、状況は大きく変化します。

例えば:
・ミドルマネジメント層の配置が必要になる
・組織構造の変革が求められる
・社員が増えることで、情報の解釈が多様化する
・コミュニケーションにズレが生じやすくなる
・経営者の思いが組織全体に行き渡りにくくなる

つまり、1人から100名へと組織が拡大していく過程では、多くの変数と課題が生まれる時期なのです。「Wellness Offsite」は、この組織変革が生じるタイミングにおいてこそ、最も価値を提供できると考えています。

ーーこれまで「Wellness Offsite」のサポートを経験されてきたなかで、難しさを感じる場面はありますか。

川人: 難しさを感じる場面としては、事前のヒアリングでは表面化しなかった重要な課題が、オフサイト当日に浮き彫りになる時などですかね。ご相談いただいた方が重要視していなかった問題や、メンバー間に潜在していた軋轢などが、予期せぬタイミングで顕在化することがあるんです。

こうした状況に直面した際、あらかじめ計画していた議論を進める方が簡単ではありますが、新たに浮上した課題を無視したまま議論を進めても、本質的な成果は得られません。そのため、当初のプログラムを一旦脇に置き、その場で相談しながら、プログラムの再設計を行います。

参加者全員が「今、ここで」直面している課題や、全員が本当に議論すべきだと感じている問題に焦点を当てることで、より価値のある時間をつくることができると確信しています。

オフサイトでゴールナビゲートを行う福地・川人

第三者視点がもたらす新たな気づき

ーー「Wellness Offsite」の強みについて教えてください。

川人: 「Wellness Offsite」の1番の強みは、組織にとっての「北極星」、つまり進むべき明確な方向性を示すことだと考えています。全員でこの北極星を確認し、目指すべき方向を定めることで、組織内の「迷い」を解消することができます。この「迷い」がなくなることで、メンバー一人ひとりの能力を100%引き出すことが可能になるんです。

福地:メンバーの「迷い」をなくすことは、組織全体のコスト削減にもつながります。例えば、コミュニケーションコストの削減が挙げられます。組織の方向性が明確になれば、日々の業務における認識のすり合わせに費やす時間と労力が大幅に減少します。他にも、説明コストの低減があります。全員が同じ方向を向いているため、新しい施策や戦略を導入する際の説明に要する時間と手間を省くことができます。

コスト削減により、組織全体の生産性は向上します。メンバー自身が組織の目標と自身の役割を明確に理解することで、自走できる状態が実現するんですよね。

川人:もうひとつ私たちの強みとして、第三者だからこそ発揮できる客観性があります。先入観にとらわれない外部の目線で「場」を観察し、適切な問いかけを行うことができるんです。

ポジションや立場に関係なく、社長に対しても率直に意見を述べることができるので、フラットな議論の場をつくることができます。これにより、通常では出てこないような斬新なアイデアや本音の意見が飛び交う環境をつくることが可能となります。

また、私たちが素人目線で基本的な質問を投げかけることで、組織内では「当たり前」とされてきた考え方に再考を促します。これは時として、長年気づかれずにいた問題点を明らかにするきっかけにもなります。さらに、組織内では立場や関係性から言いづらかったり、今更聞きにくかったりしたことや踏み込めなかった課題が、私たちの介入によって自然と浮き彫りになることもあるんです。

福地:経営者とメンバー間の橋渡し役になれることも強みです。経営者がメンバーに対して感謝や激励の言葉を伝えることは、組織の士気向上や信頼関係の構築に極めて重要です。しかし、日常的な関係性や自身のキャラクターを考慮すると、こうした気持ちを素直に表現することが難しい場合があります。「本当は伝えたい思いがあるのに、なかなか言葉にできない……」。これは多くの経営者が直面するジレンマです。

そこで私たちが第三者として介入することで、経営者の本音を引き出す「杖」としての役割を果たします。経営者の思いを適切な形で引き出し、それをメンバーに伝えることで、普段は言い出しにくかった感謝や激励の言葉が、自然な形でメンバーに届くようサポートします

もちろん、空気を読まずに切り込んでしまうと逆効果になってしまうので、そこは経験値で空気を読んでいます(笑)

オフサイトでゴールナビゲートを行う福地・川人

ーー「経験値で空気を読む」とは、具体的にはどのようなことでしょう。

川人 :議論の初期段階では、多くの参加者が様子見の姿勢を取る傾向にあります。この時期には、私たちが積極的に議論をナビゲートし、参加者の意見を引き出すことに注力します。しかし、議論が軌道に乗り、参加者が活発に意見を交わし始めたら、一歩引いた立場をとります。この段階では、議論を見守りつつ、発言の少ない人に適切なタイミングで発言を促すなど、控えめながらも的確な関わり方を心がけます。

つまり、議論の進行状況や場の雰囲気を敏感に察知しながら、前に出たり後ろに下がったりと、柔軟に対応することを常に意識しています。

さらに、第三者である私たちだからこそ果たせる重要な役割として、参加者の疲労度の観察があります。激しい議論が1〜2時間続くと、参加者に疲れの色が見え始めます。3〜4時間経過すると、息切れや緊張感、イライラの兆候が現れることもあります。

このような状況を察知した際には、休憩を提案したり、スケジュールを柔軟に調整して自由時間を設けたりします。これにより、参加者の心身のリフレッシュを図り、良質な議論の場を維持することができているのだと思います。

福地:もうひとつ意識していることは、先入観や決めつけを避けつつ、参加者間のパワーバランスをできるだけ早い段階でキャッチするよう努めています。例えば、新人の方が意見を出しにくい雰囲気を感じ取った場合、積極的に声かけを行い、その方の意見を引き出すように働きかけます。また、特定の人物の意見が強く主張され、他の参加者の声が埋もれがちな状況では、適切に介入してバランスを取り戻すことで、フラットな議論ができるよう調整に入っています。

オフサイトでゴールナビゲートを行う福地・川人

非日常から「日常」への接続

ーー「Wellness Offsite」の終盤で意識していることはありますか。

福地:那覇空港での解散時の状態を「Wellness Offsite」の最終ゴールとして設定していて、このゴールに到達するために、「起承転結」の流れに沿って、すべての体験を綿密に設計しています。

最終的なゴール設定は、お客様の状況や課題に応じて柔軟に行います。例えば、「明日からの行動が変わっている状態」をゴールとして設定する場合には、オフサイトの最後、那覇空港でのランチタイムを活用します。ここで参加者に具体的なアクションプランや役割分担を宣言してもらうことで、目標をより明確にし、実行への決意を固めてもらうこともあります。

川人: 「Wellness Offsite」の終盤で最も重視しているのは、「日常への接続」です。この日常への接続が適切に行われないと、せっかくのオフサイトの成果が一過性のもので終わってしまう可能性があります。沖縄の豊かな自然の中で「最高!」とテンションが上がったものの、翌日アスファルトジャングルの満員電車に揺られオフィスに出勤して「最悪……」と感じてしまうような状況を避けたいのです。実際、自然豊かな環境でのワーケーション後に通常の環境に戻ると、ストレスがリバウンドするという研究データも存在します。

そのため、私たちはオフサイトの流れを、断食になぞらえて「準備食」「断食」「回復食」という段階に分け、段階的にプログラムを進めることを大切にしています。つまり、日常から離れる準備の段階、オフサイトで新しい体験や気づきを得る段階、そして日常に戻る準備の段階を意識的に設けているのです。この「回復食」にあたる「日常への接続」の段階では、現実的な目標設定やマインドセットの調整を行います。オフサイトでの高揚感を維持しつつ、日常で実現可能な具体的な行動計画を立ててもらっています。

このように、オフサイトの効果を一過性のものではなく、持続可能なものにすることを常に意識しています

オフサイトでゴールナビゲートを行う福地・川人

ーー最後に、「Wellness Offsite」を通じてどのような価値を提供したいですか。

福地:「振り返ればあれが転換点だったよね」と参加者全員が感じられるような体験を提供したいですね。組織や事業において重要な転換点ってありますよね。沖縄というシンボリックな地で、チーム全員が共通言語を持ち、体験を共有する。数年後、みんなでその時のことを語り合ってくれたら嬉しいですね(笑)そんな場面を想像しながら、オフサイトを作っています。実際、多くのお客様から「かなり濃密な時間だった」という感想をいただくことがあります。

川人: 同じ思いですね。チームメンバーと言語と非言語を通じた濃密な時間を共有することって、日常生活では稀ですよね。だからこそ、オフサイトは組織にとって貴重な投資となり、組織の『転換点』になりうると考えています。

私たちにとってオフサイトの終了はひとつの区切りですが、参加者の皆さんにとってはむしろ「新たな始まり」なんです。2、3週間後に行う振り返りでは、アンケートデータも含めて、ポジティブな変化について多くの報告をいただきます。チームの行動変容や業務効率の向上など、具体的な成果を聞くことで、私たちもようやく成果を実感することができます。

しかし、ひとつの課題を乗り越えても、組織やチームには常に新たな壁が現れます。私たちの願いは、お客様が直面する課題を順調に克服していくことです。そのために、オフサイトに限らず様々な形でサポートを提供していきたいと考えています。

実際に、昨年5月のインタビュー以降、オフサイト後もパートナーとして選んでいただき、多様な形で支援させていただく機会が増えてきました。お客様の声が、自分たちが提供できる新たな価値に気づくきっかけにもなりました。お客様の期待に応える形で、サービスのラインナップが増えてきているのも嬉しいですね。