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人工衛星

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人工衛星をめぐるルールを3分で解説しています。
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#3分宇宙法

3分でわかる測位衛星の法律問題



生活インフラとしての測位衛星初めての場所に行く時、私たちはGoogle mapなどを通じて位置情報を使います(少なくとも私はGoogle mapがなければ初見でX-NIHONBASHIに行けませんでした)。宇宙基本計画では、準天頂衛星システムは2023年度をめどに持続測位可能な7機体制での運用を開始するとされています。
測位衛星は衛星から発信される電波によって位置を特定するという仕組みというわ

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3分でわかる宇宙基本法アウトライン

3分でわかる宇宙基本法アウトライン



快挙再びはやぶさ2がまたも快挙です。
2月22日のタッチダウンに続き、クレーターの生成実験に成功しています。ますます目の離せないはやぶさ2ですが、政府が打ち出す宇宙基本計画に「宇宙科学・探査」の項目として記載されていることをご存知でしょうか?そもそも、宇宙基本計画とは何なのでしょうか?

宇宙基本計画宇宙基本計画は、宇宙開発利用に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための宇宙開発利用に関す

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3分でわかる宇宙活動法〜人工衛星の管理計画〜

3分でわかる宇宙活動法〜人工衛星の管理計画〜



人工衛星の管理許可宇宙活動法では、人工衛星の管理を行うには内閣総理大臣の許可が必要とされています(国内の設備を用いる場合)。その際、人工衛星をどのように管理するかといった管理計画は審査項目の一つとされていますが、具体的にはどのような項目が審査されるのでしょうか?「人工衛星の管理に係る許可に関するガイドライン」に詳細が記載されているので、簡単にまとめてみます。
なお、宇宙活動法の全体像はアウトラ

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3分でわかる衛星リモセン法〜用語の定義〜

3分でわかる衛星リモセン法〜用語の定義〜



2018年11月15日に施行された衛星リモセン法は、リモセン記録の適正な取扱いを確保するため、①リモセン装置の許可制度、 ②リモセン記録を保有する者の義務、 ③リモセン記録を取り扱う者の認定等についてルール化しています。

リモセン法でも用語を定義している規定がありますが、肝心なリモセン装置とリモセン記録の定義が若干複雑なのでまとめてみます。

衛星リモートセンシング装置条文上は、以下のように

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3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン装置の使用許可〜

3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン装置の使用許可〜



衛星リモセン法は、リモセン記録の適正な取扱いを確保するため、①リモセン装置の許可制度、 ②リモセン記録を保有する者の義務、 ③リモセン記録を取り扱う者の認定等についてルール化しています。

今回は、リモセン装置の許可が認められるためにはどうすれば良いのかを取り上げます。

許可制度
高分解能(詳細に地上のモノが判別できる)のリモセン装置を使用するには、内閣総理大臣の許可が必要です。
そして、以

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3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱い〜

3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱い〜



リモセン法は、リモセン記録の適正な取扱いを確保するため、①リモセン装置の許可制度、 ②リモセン記録を保有する者の義務、 ③リモセン記録を取り扱う者の認定等についてルール化しています。

今回は、リモセン記録を取り扱う際の注意点をまとめます。

リモセン記録の提供の制限提供の制限
リモセン記録をやり取りすることは原則として制限されており、許可を受けたリモセン装置の使用者、特定取扱機関、認定を受け

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3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱者認定〜

3分でわかる衛星リモセン法〜リモセン記録の取扱者認定〜



高分解能のリモセン記録は、原則として①許可を受けたリモセン装置の使用者、②特定取扱い機関、③認定を受けた衛星リモセン記録取扱者認定を受けた者にしか提供できません。
認定制度は、テロリストなどにリモセン記録が渡って悪用されてしまうことを防止するため重要です。
今回は、認定を受けるためには何が必要かを取り扱います。

認定制度リモセン記録を取り扱う者は、申請によって内閣総理大臣の認定を受けることが

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3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達(その2)

3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達(その2)



前回の「3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達」では、デット(借金)とエクイティ(出資)の違い、プロジェクト・ファイナンスとアセット・ファイナンスの違いなどについて解説しました。

ところで、アセット・ファイナンスでは、お金を貸す側が会社の資産を担保に取ったりすることで、返済してもらえるようリスクヘッジをします。ここでいう担保については、宇宙ビジネスの資産専用の制度があるわけではなく、昔から地球に

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3分でわかる衛星同士の衝突回避



SpaceXの衛星とESA(欧州宇宙機関)の衛星が衝突しそうになったため、ESA側で衛星の回避行動をとったという記事です。

ESAの衛星はaeolusという気象衛星で、昨年8月に打ち上げられました。
一方、SpaceXの衛星はStarlinkという通信衛星で、今年の5月に打ち上げられた衛星群の一部です。Starlinkは1基で運用しているわけではなく、複数、具体的には計画ベースで12000基

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3分でわかるIntelsat vs. OneWeb, Softbank



9月10日、アメリカの衛星事業者Intelsatが、同じくアメリカの衛星通信事業者OneWebとSoftBankを相手取り、ニューヨーク最高裁判所に訴訟を起こしたというニュースです。

Intelsatは、OneWebがIntelsatの機密情報を不適切に利用した等の主張をしており、損害賠償とOneWeb・SoftBankによる契約違反行為の差止めを求めています。

世界を代表する通信事業者と

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3分でわかるリモートセンシング原則



地形、気温の変化、氷河や石油タンクまで、広く地表の情報を取得することが可能な衛星リモートセンシングが注目されています。
日本では2017年11月に衛星リモセン法が施行され、リモセンデータの取扱いについてのルールが整備されました。
しかし、それよりもずっと前に、リモートセンシングの基本的な在り方について世界で議論され、ルールが作られています。

1986年に採択された「リモートセンシング原則」は

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3分でわかるリモセンデータの保護

3分でわかるリモセンデータの保護



衛星リモートセンシングデータは、その分析によって幅広く地表の情報を取得できるものとして価値を持ちます。
サービス提供のために分析されたデータを提供する事業者としては、そのデータが保護されていた方がビジネスを進めやすい側面があることは否めません。

しかし、リモセンデータが法律上どのように保護されるのか、明確な規定はありません。
そこで今回は、リモセンデータを保護する方法について取り上げます。

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3分でわかるリモートセンシングと個人情報

3分でわかるリモートセンシングと個人情報



衛星リモートセンシングは、人工衛星を使って宇宙空間から地表の情報を広く取得する技術です。
その分解能(解像度)やクオリティが高まるにつれて、個人の生活の様子等も把握できるようになってきました。
この場合、個人のプライバシーや個人情報との兼ね合いが問題となり得ます。

個人情報との関係ー個人を特定できるかどうか個人情報保護法は、「個人情報」を生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別する

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3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達(その3)

3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達(その3)



3分でわかる宇宙ビジネスの資金調達(その2)では、航空機ファイナンスを想定したケープタウン条約について取り上げ、宇宙に特化した「宇宙資産議定書」があることを紹介しました。

今回は、その宇宙資産議定書について取り上げてみたいと思います。ちなみに、航空機に関しては別途「航空機議定書」が存在します。

宇宙資産に特化したルール宇宙資産議定書(宇宙資産に固有の事項に関する可動物件の国際的権益に関する

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