読書感想文 『アルジャーノンに花束を』
【アルジャーノンに花束を】
・ヒューゴー賞
・ネビュラ賞
32歳になっても幼児なみの知能しかないチャーリイが手術を受け知能が向上していく。
これだけを感想の冒頭に持ってくると、頭が良くなってハッピーエンドだけな話。しかし、急激な変化に翻弄されるチャーリイをみているとフィクションだと分かっていても胸が締め付けられる思いであった。
人間が年を経て成長していく、もとい知能が上がっていくのは自然な速度である。そして、知能の向上の同じく心も成長していくのが一般的だろう。もしこれが、知能のみが急激に向上してしまったら絶対に心と知能のバランスは取れなくなるだろう。チャーリイのように。
人間誰しも頭が良くなりたい、たくさんの知識を身につけたい、と思ったことはあるだろう。勿論それは人生において非常に重要でプラスになるのは間違いない。だが、本作を読めば人生における「知能」は人生の一部に過ぎないことを思い知る。特に人間関係においては、知能よりもっと重要な要素がたくさんある。それをチャーリイが全身全霊で教えてくれる。
物語で感動したのは勿論だが、本作では『翻訳』にも同じくらい感動した。翻訳自体をここまで感動したのは初めてだろう。もしこれがあの冒頭と、末尾でなかったら正直言って作品としての完成度が大きく変わっていたと思う。
一冊で内容と翻訳ふたつ楽しめる作品だった。
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