りょう 読書感想文

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最近の記事

読書感想文 『その気持ち、なんて言う?』

【その気持ち、なんて言う?】 まさに、この本を読んだ気持ちはなんて言う? 面白い?心地よい?エモい? ほんとに、言葉を感情とうまくリンクさせて、こんなにも心に染み込む表現ができる人たちがいることがもう、言葉にできないほどすごいと思う。 全く難しい言葉でもないのに、なぜその言葉を連想して全く違う状況をグッと引き寄せてこれるのだろう。 普段からこんなにも読書していても、いざそれを感想文にしようとすると、どうしても直截的な表現しか浮かばないモヤモヤ、この気持ちなんて言う?

    • 読書感想文 『撮ってはいけない家』

      【撮ってはいけない家】 ラスト1ページを捲る手が震えた。 その家は「撮ってはいけない家」だった。。。 「家にまつわる呪い」をテーマにしたモキュメンタリーホラーの撮影に使われた旧家には、なぜか企画と共通する点がいくつも見つかる。 撮影を開始すると、まさにホラーな現象が次々と起こっていく。さらには、撮影現場に訪れていた子どもの失踪も。 この家はなぜこれほどまでにいけない場所なのか。制作ディレクターとADは子どもの行方を探しながら徐々にこの家と一族と、過去の忌まわしい事件

      • 読書感想文 『恋とか愛とかやさしさなら』

        【恋とか愛とかやさしさなら】 あなたが恋している人、愛している人、やさしくしている人はどれだけいますか。そして、その人たちのことを心から信じることはできますか。 この作品を読んで、信じることが恋とか愛とかやさしさと比べて、与える影響力の強さに衝撃を受けた。 日常において、いちいちこの人は信用できるとかできないとか考えていることはまず無いだろうけれど、(ないよね?)恋だったり愛だったり、やさしさだったりの思いやる感情であれば身近にあるだろう。(あるよね?)この思いやる感情

        • 読書感想文 『わたしの知る花』

          【わたしの知る花】 泣いた。 最後泣かずにいられなかった。 花と人が紡ぐ、儚くもあり、辛くもあり、幸せでもある、ある老人による人生の物語。 犯罪者だと町で噂されていた老人が孤独死した。 読んでみるとら犯罪者と噂されていた老人からは想像が出来ないような、綺麗な花のような温かさと、散っていく花のような儚さを伴う物語だった。 現在と過去を行き来しながらこの老人(平 へい) に纏わる過去の体験と、なぜ犯罪者と噂されているのかが明らかになってくる。さらに、その結果彼に訪れた悲

          読書感想文 『令和元年の人生ゲーム』

          【令和元年の人生ゲーム】 ・第171回直木賞候補作 第1話 平成28年 第2話 平成31年 第3話 令和4年 第4話 令和5年 大学を舞台にした第1話から語り手が代わりながら話しが進んでいくんだけど、全編に登場する脇役「沼田」が痛快すぎる。 語り手含む人物たちは、章ごとに年齢も立場も性別も違うけれど、みんな希望に満ちた未来に向かうことにキラキラして見える。 そんな中で異質なのが「沼田」という人物。 常に一歩引いたところから他人を見ているような態度で、入社式では「総

          読書感想文 『令和元年の人生ゲーム』

          読書感想文 『舞面真面とお面の女』

          【舞面真面とお面の女】 ・アムリタシリーズ2作目 [映]アムリタから、だいぶミステリアスなお面の物語へ。 これぞメディアワークス文庫というような展開の軽快さで読みやすい。ただ読みやすいだけではなく、舞面真面(まいつらまとも)を筆頭に不思議な名前の人物が出てきたり、お面の謎を解くストーリーだったりに引き込まれていく。 箱を解き、石を解き、めんを解け ーよきものが待っている 真面たちはどのようにして解くのか、よきものとは何か。アムリタシリーズ2作目とはいっても1作目とは

          読書感想文 『舞面真面とお面の女』

          読書感想文 『本日は、お日柄もよく』

          【本日は、お日柄もよく】 “困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している” これは、東えりかさんが本編から引用した、解説の冒頭三行だ。 正にこの言葉通りの体験をしたことがある。というよりも、泣いたときの私はほぼ100%これだ。 そして、恐らく多くの人も経験したことがあるはず。 であれば、この小説の良さを感じる準備は万全である

          読書感想文 『本日は、お日柄もよく』

          読書感想文 『スピン 第9号』

          【スピン 第9号】 冒頭で告白したいのは目次の紙に一目惚れしたこと。 [スプレンダーラックス VS-FS グレー]って名前らしい。名前もカッコよくて好き。しかもイタリア生まれ。 光輝くような美しさを表す「splendor」と豪華さを表す「luxurious」を掛け合わせて名付けられたそう。センスの塊だよ! ひと息おいて、、 3年目に突入したスピンは鈴木涼美さんの「典雅な調べに色は娘」とピノキオピーさんの「歌詞の話」が最終回。どちらも普段読んでいる小説からは得られない世

          読書感想文 『スピン 第9号』

          読書感想文 『右園死児報告』

          【右園死児報告】 この調査報告体系は安全である。 右園死児という名の人物あるいは動物、無機物が災害をもたらす。怪異的なものの報告をまとめた禁忌的な本。。。だけだと途中までは思っていた。 相当数の報告が上がっており、読んでいてそのバリエーションの多さに驚かされる。さすが明治二十五年から続く報告体系というだけはある。 これだけの報告が序盤に披露され、後半は伏線を回収してこの得体の知れないモノの全体像が明らかになって終わるのかなと思ったら、どうやらそう簡単には右園死児は終わ

          読書感想文 『右園死児報告』

          読書感想文 『積ん読の本』

          【積ん読の本】 まずはじめに、この本を積ん読したままにせず、買ってすぐ読んだ自分を讃えたい。 小説以外でこれほど心強い本にはなかなか巡りあえないだろう。どんなに生活に役立つ本より、どれだけ仕事に役立つ本より今の自分にフィットする本だった。 言うなれば、12校の強豪校に体験入部してきたかのよう。自分では到底敵わないことを知りながら、少しでも盗めるものは盗もうみたいな。特に考え方について。 積ん読って、基本的には買ったのに読んでなくてもったいないってのが世間的な見方だと思っ

          読書感想文 『積ん読の本』

          読書感想文 『さくらのまち』

          【さくらのまち】 あの三秋縋さんの6年ぶりとなる完全新作。 ファンとしては待ちに待った小説。 今回も期待を裏切らない気持ちにさせられた。 この気持ちはうまく表現するのが難しいけれど、強いて言えば虚無に近いかな。虚しいし悲しいし切ないし。 でも、それこそが三秋縋さんの小説に沼る1番の理由。他の小説ではなかなか味わえない。 今回は、「さくら」がテーマ。それは植物の桜でもあったけれど、メインはお金もらって客のフリをするあの「サクラ」。 これを題材にした小説は初めて読んだけれど

          読書感想文 『さくらのまち』

          読書感想文 『未必のマクベス』

          【未必のマクベス】 先ず言っておきたいのは、こんなに読み心地の良い文章が存在することに驚いたこと。 p600頁を超える物語でありながら、読んでいてそれだけの頁数をこんなにも感じないのかと驚いた。 まるで言葉が染み込んでくるような文章力に魅了された。 さて、物語に触れる。 『マクベス』はシェイクスピアによる四大悲劇のひとつである。この物語ももれなく悲劇的である。まあ、犯罪小説×恋愛小説の組み合わせってだけでも喜劇にはならないだろうけど。 物語の語り手(主人公)の中井優一は

          読書感想文 『未必のマクベス』

          読書感想文 『天久鷹央の事件カルテ 生命の略奪者』

          【天久鷹央の事件カルテ 生命の略奪者】 シリーズ13作目 移植するために運ばれていた心臓が奪われた。 物語はここから連続臓器強奪事件の真相の解明へ向けて動き出す。 シリーズ13作目は臓器移植がテーマ。 天久鷹央がいる天医会総合病院で移植される為に摘出された腎臓が強奪される。 この犯人の特定に例の如く天久鷹央の推理が展開され、事件の全貌を明らかにしたと思われた。ここまでが中盤。そしてここで終わらずに、更にその先にある真相まで繋げていけるのが著者知念実希人さんの作品の良い

          読書感想文 『天久鷹央の事件カルテ 生命の略奪者』

          読書感想文 『短物語』

          【短物語】 物語シリーズ初の短々編集 なんと39もの短々編が収録されている豪華な一冊。 100%身近な(物語シリーズ内で)短な物語だった。 物語シリーズの醍醐味とも言える、キャラクターたちの軽快な会話のテンポと西尾維新さんらしい巧妙な言葉遣いが満載で大満足でした。 結構初期の頃の話もあって懐かしい話だったり、本編の余白を埋めるような話もあり、化物語からずっと読んできた読者には良い感じに刺さるんじゃないだろうか。 物語シリーズは章ごとに001から進んでいくスタイルだけ

          読書感想文 『短物語』

          読書感想文 『彗星を追うヴァンパイア』

          【彗星を追うヴァンパイア】 人間とヴァンパイア、相反する存在から、人の未知への探究心を鮮明に描く作品。 導入として、人間とヴァンパイアもそうだけど、数学(研究)と怪異(ヴァンパイア)という2つの切り口があるところが面白い。 人の形をしたものがあるとして、それを未知と呼び、しかもそれが人間より格段に力がある。それを解明しようとしたときに、どこがどう違うのかって科学的に解明する発想は出にくいのではないだろうか。怖いし。 そこに焦点を当てて研究者視点を組み込み、物語にできてし

          読書感想文 『彗星を追うヴァンパイア』

          読書感想文 『穢れた聖地巡礼について』

          【穢れた聖地巡礼について】 『近畿地方のある場所について』の著者、背筋さんの新刊 皆さんは、廃墟とか心霊スポットとか行ったことはありますか? 行ったことある、もしくは行こうと思っている、という人がいたら行かないことを強くお勧めします。この物語のようにならないためにも。まあ、勿論強制はしませんが。 今回は、心霊スポット突撃系YouTuberのファンブックをつくるという企画から、各地のスポットがどんな怪談のあるところなのかを深掘りしていく。 場所ごとの怪談の内容も怖いけ

          読書感想文 『穢れた聖地巡礼について』