軽やかにお茶と嬉野を楽しもう。小冊子「うれしいお茶」の取材に4日間同行した話
嬉野温泉 旅館大村屋がお届けする「嬉野温泉 暮らし観光案内所」にようこそ。連載のために月に1度は必ず嬉野温泉に泊まっている、ライターの大塚たくま(@ZuleTakuma)です。
この度、お茶と嬉野を楽しむ小冊子『うれしいお茶』が5月16日に発売となりました。
発行元は嬉野温泉旅館組合ですが、企画は旅館大村屋の北川健太と、真鶴出版さん、写真家のMOTOKOさんがクレジット。
ライター、編集者、カメラマン、デザイナーの全員が嬉野を訪れ、嬉野のまちを実際に旅しながら、取材しました。
お茶の入門書でありながら、旅日記のような、ZINEのような『うれしいお茶』。イラストは嬉野市在住の人気イラストレーター・ちえちひろさん。デザインは『MOMENT』などを手がける飯田将平さん。写真は『お父さん、だいじょうぶ?日記』の加瀬健太郎さんです。
私、ライターの大塚たくまはこの小冊子に携わってはいません。
ただ。
ずっと。
ずうっと。
後をつけていました。
4日間にわたる「うれしいお茶」の取材を、取材しました。
ぼくもたくさんの記事を制作してきましたが、はじめてのケースです。
「うれしいお茶」取材の思い出を通して、小冊子「うれしいお茶」の魅力をお伝えしようと思います。
ざっくりと「うれしいお茶」の見どころはこの3点。
この3つの視点で「うれしいお茶」の魅力を、取材の様子とともに、お伝えしていきます。
「うれしいお茶」の見どころ①まち歩きの楽しさ
ぼくが嬉野に到着すると、すでに「うれしいお茶」の取材陣は「まち歩き」の真っ最中。
北川さんがアテンドしてくれる「まち歩き」は、温泉街っぽくはありません。地元民ならではの暮らしに根付いたまち歩き。
「観光地」ではなく、「ふるさと」を紹介しています。
よそ行きではない、等身大の嬉野。
等身大で紹介されると、紹介される側も等身大になれる。だからこそ、リラックスできるんですよね。
嬉野温泉へ遊びに行ったとき。「旅館から出ない」という選択肢をとるのはとてももったいない。
嬉野は旅館にこもっても、良さの10%……いや5%くらいしか感じられないと思います。
「うれしいお茶」は街歩きの目印となるような人、場所が紹介されています。ぜひ「うれしいお茶」に登場している人に、会いに行ってみてほしいのです。
嬉野の魅力はコミュニケーションの中にあると思います。「うれしいお茶」はきっと、そんなコミュニケーションの潤滑油となるはずです。
「話しかけるのが苦手」という方はぜひ、バッグに「うれしいお茶」をしのばせて。「うれしいお茶」を見せながら、「これを読んで会いに来ました」と言ってみてください。
絶対にみんなニッコリ笑って、大歓迎してくれます。そして、仲良しになることでしょう。
「うれしいお茶」の見どころ②みんなが語れる野良茶
「うれしいお茶」の取材では「野良茶」をテーマに、お茶の仕事に携わっていない、普通の嬉野市民の方々に「普段、どんなお茶を飲んでいるのか」を尋ねました。
「いや、お茶なんて無意識に飲んでいるし、そんな答えられないんじゃ」と思ったんですが、嬉野市民は違う。
みんなそれぞれの「お茶」との付き合い方を具体的に語る語る。
お茶の種類はなにか、どこのお茶屋さんのお茶なのか、朝はどんなお茶、食事中はどんなお茶……。
みんなそれぞれの楽しみ方がありました。どんな人でも、お茶の話は楽しそうに語ってくれます。
「お茶?まあ、ペットボトルで飲んだりとか……。うーん、あまり考えたことないな」
いくつもインタビューしてたら、こんな回答もありそうじゃないですか。でもね、いないんですよ。さすが、嬉野。
「うれしいお茶」では、嬉野の方々が日常で飲んでいる普段のお茶「野良茶」をいろいろと紹介しています。嬉野市のお茶文化の「リアル」がはじめて言語化されているのではないでしょうか。
面白いのはもちろん、きっとあなたのお茶ライフに影響を与えてくれるはずです。
「うれしいお茶」の見どころ③本気で楽しんでつくっている
3泊4日の取材旅行だった、皆さんは全員が初・嬉野。
ぼくは「取材の取材」と称して、とくにミッションもないまま、ただただ皆さんと同行しました。
最初は「一体、何者なんだ?」という感じだったと思いますが……。同行するにつれて、だんだん馴染んでいきました。
とにかく、この3泊4日は楽しかった。
取材からもう4か月ほど経つわけですが、みなさんとワゴン車で嬉野をぐるぐるした、あの奇妙な4日間の雰囲気、空気感を手にとるように覚えています。
カメラマンの加瀬さんは「学校の旅行の帰りのときみたいな淋しさやな」と言い残して帰ったと聞いています。それもわかります。
ちえちひろさんの紹介で行った「お菓子のまつ屋」の安すぎるケーキの素朴な美味しさ。
肥前吉田焼、急須の茶漉しの穴が手作業で開けられていたと知った驚き。
茶畑で見た、海と夕暮れの美しさ。
ぼくらはこの4日間、嬉野で感じたさまざまな感情を共有しました。
不思議な一体感とともに、トラベラーズハイになったぼくらの「わくわく」が「うれしいお茶」には、ギュッと詰め込まれています。
きっと、読者の方にはそんな「わくわく」も感じ取ってもらえるんじゃないでしょうか。
あなたも「嬉野」になれる。
取材を終えた、4日目の朝。
ぼくは旅館大村屋の「湯けむりラウンジ」でパソコンを広げ、カタカタと仕事をしていました。
「うれしいお茶」の制作チームの皆さんも、同じ場所で取材内容を振り返りながら、打ち合わせをしていたんです。
仕事のキリがついて、ぼくは帰ることに。制作チームの皆さんに「ぼくはそろそろ失礼します!ありがとうございました」と声をかけました。
「え!????」
「いやいや、あっさりすぎでしょ!!」
「大塚さん!!ちょっとちょっと!」
「いやいや、記念に写真撮りましょう」
まさか自分と一緒に記念に写真を撮ろうと自然に思ってくれるほど、愛着を持っていただいたとは。感激です。
嬉野に来ると、ぼくはいつも人の暖かさに触れています。
ついに、嬉野の方ではない人の暖かさにも触れました。そんな「嬉野の暖かさ」が、この「うれしいお茶」には詰まっています。
「温泉」「お茶」「焼き物」「お酒」「温泉湯どうふ」、そして「地元の方々」。これだけが嬉野ではありません。
「訪れた人」もまた、嬉野なのです。
嬉野には「あなたも嬉野だよ」と迎え入れてくれる土壌があるような気がします。「私たちの仲間になろうよ」という空気感があって、排他的な感じがまったくありません。
だからこそ、ぼく自身も「嬉野の一部」だと思っていますし、そうでありたいと思っています。
小冊子「うれしいお茶」はきっと、あなたと嬉野の境界線をにじませて、嬉野の一部となる手助けをしてくれるはずです。
小冊子「うれしいお茶」現在発売中
最後に、もう一度ご紹介します。
お茶と嬉野を楽しむ小冊子『うれしいお茶』は、2022年5月16日に発売されました。
お茶の入門書のような小冊子ですが、内容はお茶をキーに、嬉野のさまざまな要素が紹介されています。
制作するにあたって、ライター、編集者、カメラマン、デザイナーの全員で嬉野を訪れました。お茶初心者の取材陣は、まちで出会う人びとを通して、お茶の世界にどんどん浸っていきます。
初心者が気になるお茶のおいしい淹れ方や、道具の選び方。そもそもお茶ってどうやってつくられるの? お茶の基本的な知識はもちろん、「茶ビール」のような自由で新しい楽しみ方まで、お茶を取り巻くあれこれを紹介しています。
そして嬉野は、お茶だけでなく昔ながらの温泉地であり、焼き物の産地でもあります。それぞれの産業が、肩肘張らずに自然と協力し合っている。そんな軽やかで気持ちの良いまちの魅力もぎゅっと詰め込みました。
お茶の入門書でありながら、旅日記のような、ZINEのような『うれしいお茶』。イラストは嬉野市在住の人気イラストレーター・ちえちひろさん。デザインは『MOMENT』などを手がける飯田将平さん。写真は『お父さん、だいじょうぶ?日記』の加瀬健太郎さんです。
そしてなんと、期間限定で、冊子にも登場する茶屋二郎のお茶パック付き!
「嬉野温泉 暮らし観光案内所」次回もご期待ください。