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究極の"坊ちゃん"リバイバル-「鹿男あをによし」/万城目学

あらすじ

テレビドラマ化もされた大ベストセラー。
「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」。二学期限定で奈良の女子高に赴任した「おれ」。
ちょっぴり神経質な彼に下された、空前絶後の救国指令とは?

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誰もが知る夏目漱石の「坊ちゃん」をオマージュし、それをベースにした学園×スポーツ×民俗学×ファンタジーといった一件ごった煮に見えるスープをこれでもかと無理やり口に運ばされる作品。無論、味はうまい、うますぎる…。

こんな小説があって良いのか?!と思うほど「万城目学」という作家はこの作品以外にも縦横無尽に「常識」を駆け巡りぶった切る。

通常、人間が考える常識を想像していては後ろから殺られる。

数々の作品が映像化しており、それは「万城目ワールド」などと言われる。
エンターテイメント!なんて大きな流れの中に彼の作品を突っ込んでしまうのはもったいない。
大いにもったいない。


ということで、この作品を読むのは2回目である。
初見の時には気がつかなかったのが、夏目漱石「坊ちゃん」への丁寧なオマージュである。
「坊ちゃん」ファンからしたらこの小説が数倍面白くなるのは間違いない。

主人公の語り口調、教師として地方へ行かざるを得なくなったという経緯、赤シャツ、うらなり君、山嵐ならぬ登場人物。そしてマドンナ。
「パンツ一丁〇〇円也」「鹿せんべい美味しかったか」
など、生徒からの弄り。「坊ちゃん」を一度でも見たことがあるならばニヤリ、である。

その後、学園教師もモノで進んでいくと思いきや物語はファンタジーへ突入する。

鹿に話しかけられるのだ。

そして自分も鹿になってしまう。
その話のベースには「古墳」「神話」といった民俗学的要素が散りばめられ、歴史好きの人からすればたまらない。(自分はさらに読む手が加速した)

そして物語に重要なキーであるものを取り戻すために、スポーツで(剣道で)勝負する、試合展開。

民俗学的指向はさらに深まり、「卑弥呼」が話に登場する。

眷属である鹿・鼠・狐が卑弥子を懐かしみ、語り、彼女の願いを守り続けている理由を話す場面では思わずホロリとしてしまう。

余談だが邪馬台国があった所在地を推察する本として、この小説をお勧めしたい。

エンタメとして昇華されているが、僕もこの邪馬台国は東北説を推したい。


話題が逸れてしまった。
とにかくこの万城目学の「鹿男あをによし」は文句なく推薦したい小説である。

小説っていまいち文章が難しくて入り込めない。なんて人にもお勧めだ。
この本を読んだ後に本家「坊ちゃん」を読んでみるのもまた面白いだろう。
そこから漱石にハマって、日本文学の面白さにハマってしまったら君はもう立派な読書家である。

小説の面白さは疑似体験ができることと作者の考えを深く深く知ることができ、それを十人十色の読者の解釈で自由で結構なところである。

ジェットコースターのように進む展開で物語が終わった時にカタルシスを感じるのも良し。難解な本に挑んで、読了後に自分の見識が少しでも広がっていたならそれもまた良し。

そしてあなたは気付くだろう。
読書は合法の麻薬である、と。


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RyO




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