「簡単」のモノサシは人によって違うから。
就労支援の支援員という立場になって早いものでもう1年が経とうとしている。
あっという間といえばあっという間で、まだ1年かと思えばまだ1年かという感覚で。そんな決まり文句みたいな言葉に新鮮さはもうなくて。だけど積み重ねってきたものは必ずある。
でも業界の人から見ればほんとにペーペーのペーペーなんだけど、自分なりのポリシーというか大事にしたい部分っていくつか見えてきたと思う。
その一つが「言葉選び」だ。
これは普段からnote等を通じて言葉に意識を向ける習慣をつくっているから気にするようになったのかもしれないけど、結構言葉を大事にしている。
その代表的な例がタイトルにも関係してくるが、
「あなたにとっての「簡単」と他の誰かにとっての「簡単」は違う」
ということ。もちろん私にとっての「簡単」も違う。
冒頭にも言ったように自分はまだまだペーペーなんだけど、ちょっとその言葉選び気になるな、と思ってその人に伝えたことがある。
自分なりの解釈を説明したい。
簡単。
あなたにとっての簡単ってなんだろうか。
ちなみに私にとって「長距離を走ること」は簡単だ。そして好きだ。だけど一方で中には「長距離なんか大嫌い」って言う人もいるだろう。むしろそっちの方が多数派か。
もし長距離が好きな私が、長距離が苦手で嫌いな人に対し、
「長い距離走るのなんか簡単だよね♪」
って言ったら、言われた側の気持ちはどうだろう。
言葉を選ばず言うのであれば、
「うっせー。こっちは苦手なんだよ!」
って思うかもしれないし、もしくは
「長距離苦手な私ってダメなのかな。。。」
って思う気がする。
伝えたいことが少しはお分かりいただけただろうか。
支援という場において、ついつい、
「これは簡単だから大丈夫だよ!」
と言ってしまいかねない。きっとそこに込められている思いって、”安心させるため”であったり、”自信を持たせるため”だったりするのかもしれない。
だけどもし私がその問題を解く立場で、「この問題簡単だから大丈夫だよ」って言われて、それで解けなかったら相当テンションが下がると思うんだ。
「自分、こんなのも解けないのか」
って。だからそこでの「簡単だよ」は相手を包みこむような優しい言葉なんかじゃなく、相手を崖っぷちに立たせる、もしくは突き刺す言葉に感じてしまった。
でもきっとそれって「簡単だよ」って言っている立場はそれが相手を傷つけるかも、ということには気づかなくて。むしろ良かれと思ってやっていることが大いにある。
従って第三者の客観的な視点というものが大事になってくる。だから私は伝えた。
ただ次にぶち当たる壁が、
「じゃあどうやって声を掛けたらいいんだろう」
だと思う。良かれと思ってやっていたのに、それがダメだったら。私も結構悩んだし、もちろん今でも悩んでいる。
でも一つ言えることがあるとしたら、
解釈に先走らない
ことじゃないかって思う。
「簡単だよ」、それはあなたの解釈だ。
「難しいよ」、それもあなたの解釈だ。
「困っていそうだね」、それもあなたの解釈だ。
事実と解釈は異なる、ということを身を持って感じてきた。
もちろん解釈を全否定するつもりはない。むしろ解釈がお互いの距離感を縮めることだってある。だけど自分の解釈が先走ってはいけない。
解釈が先走りすぎると、自分の支援が「やってあげている支援」になってしまう。そして「支援することに満足する」状態になってしまう。
「支援の一番いい状態は”何もしない”こと」
上司からのこの言葉が今も胸に残る。
そのために必要なのが解釈に先走らないこと。
まずは事実と向き合い、その事実を受け相手の状態を観察し、相手の声も聴きながらそのうえで必要だったら自分の解釈を伝える、かな。
相手の声を聴くときも、それを肯定するわけでも否定するわけでもない。その言葉のまま受け止める。それが承認だ、と教わった。
自分のモノサシで相手のことを測ろうとしない。
相手のモノサシを理解する。
まずはそこから努めたい。