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他を知り、己につなげる。

現在就労継続支援B型事業所で勤務していることもあって、様々な「成功例」として取り上げられている同じような施設を調べたりしている。

何を持って「成功」と捉えるかは難しい部分もあるが、ニュース等に取り上げられるという点では注目されているのだろう。


B型の事業所で働いていて、何もわからずに「とりあえず調べてみよう」と思って記事にしていた過去が懐かしく感じてきた。

実際にどういったご利用者様が多いのかという実態の部分だったり、工賃を上げることの難しさだったり、報酬改定との兼ね合いの難しさだったり、利用者数を増やせばいいという問題ではないことだったり。

現場の空気でしか感じられない「リアル」さ。

それをヒシヒシと感じている。それと同時に、予想通りだったのは「農福連携」という事業の面白さ

広大な土地で、緑に囲まれて太陽の下でのびのびと作業できる。
作業も決して単調なものではなく、自分で考えて行動しないといけない。
暑さ、寒さ、風、雨そういった気候の変化を肌感覚で味わえる。

なんだか「生きてるぅ~!」って感じ。


それと同時に他の施設や団体はどんなことやっているんだろう?という興味も出てきている。今回は最近学んでいるいくつかをご紹介したい。

例えば、障害を抱えた方のアートを軸に展開している「ヘラルボニー」の取り組みだったり、胡蝶蘭ビジネスによって平均工賃10万円を目指している「NPO法人 Alon Alon」だったり。また障害を持つ人たちと共に、美味しいハムやソーセージをつくり、地域で愛されるレストランを手掛ける「恋する豚研究所」だったり。

ユニークかつ実績もある取り組みが数多くあり、見ているだけでも面白い。


そしてそれらに込められているメッセージも良い。

福祉業界ってまだまだ硬かったり難しそうだったり関わりにくそうなイメージってあるはず。実際私もはじめはそうだった。

だけど現場に入ることで分かったのだが決してそんなことはない。むしろ日々多くの笑顔をいただいているし、楽しい。でもそれがなかなか世間にまでは届かない。

そのために上記に挙げた団体の方々は「ポジティブでポップなワード」を選びながら身近に感じてもらい、福祉にこれまで関わりが薄かった方にも関心頂けるように、と考えているという。


また「なぜ福祉がダサくてはいけないのか」ということに言及している記事も興味深かった。

”「なぜ障害者にはかわいそうなイメージがつきまとうのか?」
たどり着いた答えは「障害者がかわいそうにみえる場所に通っているから」である。だから逆に「健常者がうらやましいと思える」福祉施設をつくれば、障害者のステータスが上がると思い、そんな福祉施設を目指してこれまで作ってきた。アイテムには他の施設にはない、楽しい仕掛けをたくさん施している。”

面白い、と同時にまさしくその通り。

誰もが通いたくなるような施設が究極の理想である。

それはデザインしかり、仕掛けしかり、仕事内容しかり。
そして就労支援の事業所であれば「工賃」という実績しかり。

NPO法人 Alon Alonの胡蝶蘭ビジネスは、まさに法人を相手に高い金額でやり取りできるため、高工賃につながることもあり素晴らしい。

実際「お金を使う喜びを知ってほしい」ということでアウトレットやレストランに行くプランを立て、父の日や母の日のプレゼント、旅行を勧めているという。


この情報を見て、自分たちの事業所にいる「工賃をもらったら親をご飯に連れていく」というご利用者様が思い浮かんだ。自分が稼いだお金で誰かを喜ばせる。それってすごい素敵なことだ。


少し話がそれてしまった。

こうやっていろいろな施設の成功例を見ているだけでも何だかワクワクしてくる。もっと何か出来るんじゃないか、変えられるんじゃないかと。

だけどこればっかりは焦りも禁物。

「ご利用者様の真のQOL向上を目指す」ということもあり、独りよがりな支援ではいけない。何を求めているのか、どうなりたいのか。そことのすり合わせ、そこを目指していくためのアプローチとして様々なアイデアを考え、実践していかなくてはならない。


最後に。
これも印象に残っている言葉を紹介。

”福祉は10年後20年後の風景をつくっていく仕事”

考えるのに、向き合うのに「早すぎる」ということはない

むしろ遅いくらい。

そして瞬間的に効果効用が出なくても焦ってはいけない。

しっかりと先を見据えて築き上げていく。


これからももっともっといろんな事例を学び吸収して、実践につなげて、10年後20年後の明るい風景をつくっていきたい。




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塩浦良太
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