法の下に生きる人間〈第36日〉
小国の宿命シリーズが、ちょうど明治時代に入る形になり、このシリーズも、偶然にも明治天皇の教育勅語を扱ったばかりである。
国家が国民教育に本格的に取り組んだのは、実は明治時代からだということを、どれだけの人がご存じだろうか。
今の時代は、小学校6年間・中学校3年間・高校3年間・大学4年間が、一般的な教育コースとなっているが、この六・三・三・四制がスタートしたのは、戦後のことである。
法律に根拠を求めるとすれば、この六・三・三・四制は、昭和22年(1947年)4月1日に施行された学校教育法の次の各条による。
【第三十二条】
小学校の修業年限は、六年とする。
【第四十七条】
中学校の修業年限は、三年とする。
【第五十六条】
高等学校の修業年限は、全日制の課程については、三年とし、定時制の課程及び通信制の課程については、三年以上とする。
【第八十七条】
大学の修業年限は、四年とする。(以下省略)
以上のように、法律で具体的な修業年限が定められているから、私たちの多くは7才から22才まで、国公立もしくは私立学校で教育を受けているのである。
学校教育法は、全体で146条も条文があり、近年の複雑な時代背景から、戦後よりも条文の数が増え、細かいことまで規定している。
学校の先生は、この学校教育法に縛られて、国が掲げた教育目標の達成のために、日々授業をしているのである。
学校の教育内容についてクレームを入れる人が少なくないと聞くが、まずは、学校教育法でどんなことが定められているのか、子どもを持つ親なら当然に知っておくべきである。
ちなみに、幼稚園の目標は、次のとおりである。
【第二十三条】
幼稚園における教育は、前条に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一 健康、安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養い、身体諸機能の調和的発達を図ること。
二 集団生活を通じて、喜んでこれに参加する態度を養うとともに家族や身近な人への信頼感を深め、自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを養うこと。
三 身近な社会生活、生命及び自然に対する興味を養い、それらに対する正しい理解と態度及び思考力の芽生えを養うこと。
四 日常の会話や、絵本、童話等に親しむことを通じて、言葉の使い方を正しく導くとともに、相手の話を理解しようとする態度を養うこと。
五 音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて、豊かな感性と表現力の芽生えを養うこと。
続きは明日である。