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戻りたくない時代の中の唯一の時間

タイムマシンがあったとして、きっと私は未来行きを選ぶと思う。やり直せたらきっと違う結果になったんじゃないかと思う過去もあれど、結局同じ選択をしそうだしそれでいい。

でも間違って私のタイムマシンだけ過去にしか行けないとしたら、戻りたくない時代はある。中学校時代。少ないけれど友達はいたし、ほんの少しだけだけれど初めて付き合った人もいた。でも見えないものに対するいらだちと、あの時期特有の空気に飲み込まれそうで早くこんな場所を抜け出したいと思っていた。

そんな中で美術部の部長をやっていたときの話。部長なんていうとさぞかし絵が上手いんでしょうなんてなりそうだけれど、一番へたっぴだった。謙遜のレベルを超えて3年間で唯一取った賞は応募すればだれでも入選できるやつ。美術の成績もよくなかったし、夏休みの宿題に関しては絵の上手い父に描いてもらっていたレベル。ただ部長という肩書が欲しかったのと、周りの絵が格段に上手い友達たちは部長なんてやりたくないという人たちだったので反対もされず部長をやっていた。

部長になったからといって、絵が急に上手くなるわけでもない。描かなくてはいけない分の絵は描いていたけれど、部長になってからの思い出はそんなところじゃない。一つ下の後輩たちがすごくノリがいいタイプばかりだったので、ある日花いちもんめをやろうということになった。小さな部室で半分に分かれ向かい合う。あの子が欲しいあの子じゃわからん。

一度試しにやってみたこの花いちもんめがちょっとしたブームになって、ことあるごとにやっていた。絵を描くといっても集中力が持たない日や気分が乗らない日があるわけだし、そんな空気になると花いちもんめやるかとなってやっていた。大袈裟かもしれないけれど、この花いちもんめタイムの時だけなぜかもやもやした気持ちや謎のイライラから解放されていた気がする。それにみんなが笑顔になっていくのを見るのも楽しかった。

なんてことを最近思い出した。今思うともっと部活をやりなさいとも思うけれど、代々ゆるめな部活だったので許されていた感じもある。相変わらず戻りたくない時代圧倒的ナンバーワンの中学生時代だけれど、花いちもんめをやっていたあの瞬間だけは戻ってもいいかもしれない。

勝ってうれしい花いちもんめ。



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