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新入社員の苦悩 摂食障害の私 体験記⑧

4月になり、私は就職先◯◯銀行に入社した。

過食でだいぶ太った為、慌てて買ったスーツを着て、都内まで一時間以上かけて私は電車通勤をしていた。
朝の満員電車は、苦痛で仕方なかった。
せっかく身綺麗にして出かけても、都内に着く頃には汗だくになるわ、髪は乱れるわ、痴漢に遇うわで一息もつけなかった。

新入社員は、何故か誰よりも早く会社に来て、掃除や雑務、先輩達の仕事の準備をしつつ、始業時間まで自分の時間を過ごすのが習慣になっていた。
その為、朝5時に起き、6時前には家を出て、8時前には会社に着くといった毎日を送っていた。

慣れない仕事と満員電車のストレスで、いつしか私の制服はブカブカになっていた。

みんなに痩せた?と言われて嬉しかったが、多分心配されてたんだと思った。

入社後、綺麗な先輩や同期に刺激され、髪の毛の色を青や赤に染めたり、短いスカートに厚底サンダルを履き、痩せた嬉しさで、足や腕を露出するようになっていた。

一応お伝えしときますが、銀行でも窓口業務ではなかったので、奇抜な髪色が出来たんだと思います。

でも女性の先輩達には、私の評判は良くなかったと思う。

会社の帰りは、渋谷か池袋で買い物をしたり、どこかで時間を潰して帰っていた。
食事はあまりせず、気を紛らわせる為
週末は、渋谷や原宿に出かけて買い物にも出かけた。

実家住まいだった私の給料は全て、服やバッグ、靴等、自分を着飾るモノで消えていった。
自分の外見も内面にも、自信が無かったからだと思う。
将来の為の貯金すら、あの頃は考えた事もなかった。
やりたい事もない。
普通に食べたい事くらい。
でも出来ないから辛い。
辛いから外に出かけて気を紛らせてる。
その繰り返し。

仕事のある平日はまだ良かった。
問題は休日。
やることがなくて食べ物に走りだすのを制御するのに、週末もわざわざ都内に出かけていた。
私の身体はボロボロだった。

会社に慣れてきた頃、新入社員歓迎会が開かれた。
課長や部長が目の前に座っていた。
他愛もない会話に付き合い、愛想笑いするのに必死だった。お酒の味もよくわからず、料理も喉を通らなかった。

上司達と別れ、若者達だけで二次会へ行った。

一次会から解放された私達は、羽目を外す程お酒を飲んでいた。
二次会は、カラオケ。
確かジュディマリの「散歩道」を歌った気がする。
みんなおしゃべりに夢中で私の歌声には興味を示してなかった。
それに気付かず私は、似合わない可愛い声なんか出して歌っていた。

歌いきった後、同期の男性が私の隣に座った。

つづく

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