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【読書ノート】『カルチャーショック』(『信仰』より)

『カルチャーショック』(『信仰』より)
村田沙耶香著


「均一」という街を愛する少年「僕」が、「カルチャーショック」という街に連れて行かれる物語。

「均一」という街は、ひたすら真っ白な巨大な空間。そこの住人は、ある年齢になると、均一な顔になる手術を受ける。「僕」の父親は、そんな「均一」の街が嫌いで、定期的に「僕」を連れて、「カルチャーショック」の街に行く。

「カルチャーショック」という街は、色とりどりの雑多な、個性を強調する街。そこには、様々な匂いがあり、味がある。「僕」の父親は、「カルチャーショック」を渇望しているのだけど、「僕」にとっては、大きな迷惑なのだった。

物語の主題は何か?
「多様性」とか、「ダイバーシティ」とか、さも、これこそが「イン」で、没個性は「アウト」的な世の中ではあるのだけど、その「多様性」って何だ?ってことだと思った。

公立の小学校は自由になったと言って、色とりどりの高価なランドセルが個性的ともてはやされたり、頭髪自由とばかりに、虎刈りやらドレッドヘアの小学生が闊歩することは、ダイバーシティなのだろうか?むしろ、「多様性」という名の没個性のように感じてしまうのだけどね。

短編ながらなかなか、興味を惹かれた物語だった。

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