【読書ノート】『かたつむり観察者』(『11の物語』より)
『かたつむり観察者』(『11の物語』より)
パトリシア・ハイスミス著
主人公(ピーター・ノッパード)は食用かたつむりが交尾する姿をもくげきしてから、非常に興味を唆られて、かたつむりを書斎で飼うようになった。それからというもの、仕事の業績も上がるようになっていった。仕事で忙しくなってしまい、二週間ほど、書斎に入らっておらず、久しぶりに、書斎に足を運ぶと部屋は一面、かたつむりに占拠されていた。そして、悲劇を迎える。
①かたつむりの交尾
1. 生命の始まりと再生を象徴する。交尾は自然界における生命の永続性を表している。
2. かたつむりは雌雄同体であり、交尾は二つの個体の相互作用を通じて行われる。このことは、他者との関係性や相互依存の関係を彷彿させる。人間社会においても、個々の存在は他者との関係によって成り立っていることを示唆する。
3. 感情や欲望が他者との関係においてどのように表現されるかを示している。
②繁殖力
1. 生物の本質に刻まれた生存本能や、自然の摂理を反映している。
2.繁殖力は変化を受け入れ、新たな可能性を探求する力を象徴する。
3. 繁殖力が強い生物は多くの子孫を残すことができるが、それに伴い個々の生命は脆く、儚いことを示唆する。
4.繁殖力は、人口増加や資源の分配、環境への影響など、社会的・倫理的な問題を引き起こすことを示唆する。
物語の主題は何か?
人間の社会は似たもの同士が集まって相互依存の関係を作って成り立っている。得てして、相互依存の関係で作られる閉鎖的な世界観は、異種を認めない。というか、認めるような余裕がない。
大事なことはダイバーシティってことなのだなあとか、思ったりした。