『女のいない男たち』
『女のいない男たち:ドライブ・マイ・カー』
村上春樹著
本書は、6つの短編で構成されているのだけど、ここでは、そのうちの一編 ドライブ・マイ・カーを取り上げる。
映画も見たのだけど、何だかよくは分からなかったので、読んでみた。
読んでみると、伏線だらけで、それら散りばめられている伏線を紐解かないと、なかなか、わからない話なのだなあと思った。
主人公の家福には妻がいた。そして、癌で死んでしまった。家福は悲しんでいる。一つは、妻が死んでしまったから、そしてもう一つは、彼女が、何人か男性とセックスしていた理由を知ることができないということ。
人は他人と親しくなって、恋人になって、結婚して、相手と常に繋がっているつもりでは、いるのに、究極的には、相手のことをわからない。そして、そのことに気づくと、悲しむ。
でも、本当のところ、自分のことすらわかっていなかったりする。
自分を理解するためには、実は、他者と関わる必要があるのだということのだと思った。
他人を失うという事は、自分を正しく理解する可能性を一つ失うことになる。だから、自分の人生を運転してくれる人間の存在が必要なのだろう。