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『スタートライン』
『スタートライン』
喜多川泰著
『あなたが見たいと思う変化に、あなた自身がなりなさい』
『明日死んでしまうかのように生きなさい。そして永遠に生き続けるかのように学びなさい』
「向かい風が強いいうことは、前向いて走ってる証拠や。」
物語の冒頭に三連発の名言で始まる。
物語は大きくは五部構成で、主な登場人物は伊福大祐、長森真苗の二人。
第一部は、高校生18才の伊福大祐の目線で同級生の長森真苗との出逢いと儚い恋の物語。
第二部は、同じ物語を長森真苗の目線で綴られた同じ儚い恋の物語。
第三部、第四部は、お互いの想いを断ち切ってそれぞれの道を歩み出した22歳の二人の成長の物語。
最後の五部で、二人は運命的な再会を果たして、、、という、非常に可愛らしい物語。
あとがきで、著者は、若者の間で「成功」と「幸せ」の概念が変化ている。それは、大人たちの考える将来の不安が子供たちの希望を奪っていることが、原因では無いか?と考えて作品を作るきっかけとなった旨書かれていた。
今の若い人たちは、あまり素直に夢を語らなくなっているなあとは、自分の子供を見ていても感じていた。
インターネットでなんでもググって否定的な意見があると左右されがちな印象を受けている。
昔から、ノウハウ本はよく売れていたけど、私を含めて昔のひとは、ノウハウ本通りに出来なかったり、反することを当たり前のようにやっていて、大体、上手くいかないのだけれど、、そんな風に失敗を重ねて、今という、最善の状況にどういうわけだか、たどり着く。
馬鹿みたいにチャレンジした方が最終的には、良いと思いながらも、自分の子供にはあまり、まわり道をさせたくないなあという気持ちも出てしまうという面もあって、そのせいで、自分の子供が、無謀なことにチャレンジしなくなったとしたら、申し訳なかったなあとも思ったりもした。
そんなわけで、今更ながら、神の見えざる手に委ねるようにしようと思うに至った。
物語に戻ると、全体的には可愛らしい恋愛物語なのだけど、メインテーマは、
「自分のやりたいことに挑戦する勇気を持った人にとっては、未来には、楽しいことであふれた毎日が待っている。」
という何とも気持ちを高めてくれる物語になっていて、安心して、読んでいられる数少ない自己啓発的な本です。
『answer』幾田りら