去年の夏頃だったか。 僕はアメリカに消されそうになった。 僕はその日、ウーバーイーツで小銭稼ぎに勤しんでいた。 その日はかなり注文数が多く、汗水たらしながら愛車のズーマーで京都市内を駆け回っていた。 そろそろ帰ろうかと考えていたその時、また1件の注文が入った。 ウーバーイーツあるあるなのだが、そろそろ帰ろうと思っているタイミングで注文が入ることがよくある。別にその注文をキャンセルすればいいのだが、お金が発生するとなるとどうも気がかりで渋々注文を受ける。 その日も、「ふざけん
落ち着きがないのだ。 23年間この体で生きてきたが、これに気づいたのはごく最近のことである。同じ場所にずっと座っていると、どうにも足先がむず痒くなってきて貧乏ゆすりが止まらなくなる。 「貧乏ゆすり」という言葉の響きが必要以上に蔑まれている感じがするので、意識的に止めるようにはしている。しかし、足先のむず痒さを発散する手段を失った私は立ち上がり、どこか目的のない場所へ歩き出す。よく半年以上も同じデスクで8時間働けているものだ。いや、他の人と比べて席を立つ回数が多いことは、もは
最近、犬をよく見る。 しかも何故かわからないが、パグやフレンチブルのような、ぎゅっとした顔つきの犬によく遭遇する。先週はセブンイレブンの前で鎮座するフレンチブルをみた。昨日、信号待ちをしていると、チャリで通り過ぎていった男性のリュックからパグが顔を出していた。 犬は人間と違って気まずいという概念がないのか、一度目が遭っても絶対に逸らさない。むしろ興味津々といった感じで、目を輝かせている。こちらも同じ生き物として負けていられないため、向こうが飽きるまでは絶対に視線を外さないこと
何となく日曜日に1週間のことをまとめて書いているのだが、日曜日を過ぎた途端に書く気がなくなってしまう。 まぁ月曜日に書けばいいかと思って眠りにつくが、月曜日からはまた新しい1週間が始まってしまうので結局その前の週のことを書くのはあきらめる。 今しなければならないことは今しなければならないのだと、人生の本質に辿り着いてしまった。 月曜日は当然仕事だ。 私はスーツや制服などの動きにくい服装がとにかく嫌いなので、私服で出勤してロッカーにおいてあるスーツに着替える。 着替えた後、喫
最近おっさんと関わる機会が増えた。 基より同年代と比べれば、おっさんと関わる機会は多かったが、私の生活圏が急速に広がっていることもあり、様々なおっさんとコミュニケーションを取っている。 おっさんとは不思議な生き物だ。 大半が大きな腹をでっぷりと抱え、無精髭を生やし、世間の評価などお構い無しで堂々と暮らしている。 かと思えば、若い女に対しては少しいい格好をする。平気でゲップや屁をする癖に、目の前の女性に対しては一定の評価を得ようとしている。 ヒトの一生で、1番人間らしい瞬間
ちょっとめんどくさくなってきた。 これまでは自主的に書き留めたいという意思があったが、最近は何となく義務的に感じつつある。 そもそも自分で課したルールだし、別にこれを楽しみに生きている奴など1人もいないのでいつ辞めてもいい。だが、とりあえずはまだやってみるかという気持ちである。5週目。 月曜日から京都の本社に戻ってきた。 10月から正式に配属となり、勤務地もほぼ京都に決まったので良かった。とりあえずは直近の不安は解消された。 大体午前中の2時間ぐらいやることをやって、それか
「3」という数字の区切り感はすごい。 たった3回物事を継続しただけでかなりの達成感がある。 それと同時に「3回はやったからな!」という心の余裕も生まれてくる。 この免罪符を切るか切らないかで、その人間の底が知れるというものだ。 4週目である。 月曜はまた祝日だった。 上野に出かける予定だったため、電車に乗る。 初めて満員電車というものに乗ったかもしれない。 すし詰め状態の車内、不機嫌そうな顔をしている子供、首筋にキスマークを付けた中学生ぐらいのカップル。 上野駅周辺は歩道橋
3週目になる。意外と続いている。 私の場合、意気込んで何かやろうと思っても大体続かない。 思いつきで突然始めたことの方が続く傾向がある。 思いつきで突然やめる可能性も大いにあるが。 月曜日は3連休の最終日だった。 20時の新幹線に乗る予定。 土日は活発に動いたので、この日は特に何も決めずに過ごす。 朝11時ぐらいから散歩をした。いつも同じコースを歩く。 近所の城の周りを2周して商店街を通って帰る。 この日から毎日1万歩歩くことにした。 昼は家で広島焼きを食べた。広島の人間は
月曜日は仕事終わりにナミビアの砂漠を観に行った。2回目である。 同じ映画を複数回観るという経験は初めてで、しかも2日連続で観に行くとはこれもまた初めてである。 帰り道にモールを歩いていると、女子高生が20人ほど集まって談笑していた。 時間は23時にさしかかっており、女子高生という眩しげな存在と夜の闇のコントラストが異様すぎて寒気がした。 前衛的な風刺作品に迷い込んでしまったのかと思った。逃げるように帰った。 火曜日は1人で焼肉を食べに行った。 七輪タイプの店で、ものすごく混
日曜日に体調を崩した。 夕方から雲行きが怪しかったのだが、 一か八かでサウナに行ったのが失敗だった。 ふらつきながら家に帰り、ベッドに倒れこんだ。 とてつもない眠気があるにもかかわらず、脳内がかなりサイケデリックな状態にあり、一睡もすることが出来なかった。 つらすぎて泣いた。 月曜日は仕事を休んだ。 こっちに来てから2週間で欠勤することになり本当に情けない。 そもそもいつからこんなに体調を崩すようになったのか。 2カ月に一回は体調を崩している。 大人としていい加減にしなけれ
ここでの暮らし方もだいぶ分かってきた。 私は遠い銀河の果てから来た宇宙人なのであるが、23年という月日をこの地球という星で過ごしてきた。 ここには太陽と月というものがあって、そのせいで明るくなったり暗くなったりする。太陽が出ている時間が昼で、月が出ている時間が夜だ。 でもまだ空が明るいのに、月が見えることもある。夕方の青とオレンジのグラデーションがかった空に、うっすら浮かんでいるそれを見ると少し得した気分になる。 今は夏だ。 夏は昼間が長い。以前は、暑くてすぐに汗をかく
今現在、私の住んでいるマンションは大規模な改装工事中であり、どの棟にも鉄骨の足場が張り巡らされている。そのせいで部屋に日差しが入ってこず、昼間でも薄暗い。窓から差し込む光を眺めているのが好きな私としては大問題である。ここ数日は部屋の薄暗さのせいで気が滅入っている。 いや、心が衰弱しているのは部屋の暗さだけが原因ではない。元をたどれば数日前に会社の上司と揉め、その時吸っていたタバコを彼の顔面に押し付けてクビになったことが始まりだ。タバコを押し付けたこと自体は全く後悔していない
もうずいぶん長いこと散歩している。 今朝は私にしてはかなり寝坊してしまい、11時に起きてしまった。今日も一日の開幕と同時にSNSのパトロールを開始し、小一時間ほど無駄にしたところで身支度を始めた。身支度といっても今日は何か用事があるわけではない。朝起きたので歯を磨いて洗顔をし、寝間着を着替えるといった、人間の生活としてごく普通の行動である。しかし最近、何の用事もないのに朝の支度をしている自分は、もしかしてとてつもなくえらいのではないかと思ってきた。外に出ないのであれば、身なり
また雨だ。 最近、梅雨でもないのに雨がよく降っている。雨は暗くてジメジメしていて、何より上空から水が降ってくるという意味不明の天気だから嫌いだ。雨という天気の異常性を「自然だから」という一点で片づけるのは少々無理があると思う。 加えて、今の私は本当に暇である。つい最近までいろんなことに追われており、同時に己の怠惰さを痛感するばかりであったが、忙しい日々というのは突然終わるものだ。やらなければいけないことが急に無くなったとき、人間という生き物は困惑する。 今朝から途切れることな
髪を切った。 何となく伸ばしていたもみあげ部分を、ツーブロックに戻した。本来の自分を取り戻した感覚がある。やはりもみあげはないに限る。 ついでに祖母とお茶をした。祖母は私が家に寄ると必ずコーヒーを淹れてくれる。そして喫茶店の薄いコーヒーを飲むぐらいなら、自宅で濃いコーヒーを飲んだ方が良いと毎回熱弁される。喫茶店は古くてタバコが吸えればいいと思っている私は、いつも聞き流しながらコーヒーを啜る。 祖母はおしゃべりだ。とにかくよく話す。実の娘たちにはあきれられて、まともに取り合って
重度の心配性である。 それも起こる可能性が限りなく低い心配をよくしている。例えば、指先を少し切ったとしよう。おおらかで細かいことを気にしない性格であれば、指先を舐めて「ドジやっちまったよ」と恥じらい交じりのほほ笑みを一発かませば済む話だ。 しかし僕の場合、そこから人を殺しうる菌が入り込んで、腕がみるみるうちに醜く変化し、切断に至ってしまったらどうしようとか考えてしまう。自分でもそんなことあるはずがないとは思っているのだが、万が一を考え、ちゃんと水で洗う。 人間生きていれば、身