週報⑥(大人の階段、ぶちのめすゴキブリ)

何となく日曜日に1週間のことをまとめて書いているのだが、日曜日を過ぎた途端に書く気がなくなってしまう。
まぁ月曜日に書けばいいかと思って眠りにつくが、月曜日からはまた新しい1週間が始まってしまうので結局その前の週のことを書くのはあきらめる。
今しなければならないことは今しなければならないのだと、人生の本質に辿り着いてしまった。

月曜日は当然仕事だ。
私はスーツや制服などの動きにくい服装がとにかく嫌いなので、私服で出勤してロッカーにおいてあるスーツに着替える。
着替えた後、喫煙所でタバコを吸うのがルーティンだ。
ベンチに腰掛けてタバコをふかしながら空を見上げると、朝なのにまだ月が出ていた。
夕方はいつものように銭湯に行く。
帰りにセブンイレブンで白くまアイスを買う。
コンビニの前にフレンチブルが寝そべっていた。
犬ってなんで常に息が切れているのだろうか。
フレンチブルは20分ぐらいコンビニの前で放置されていた。コンビニで20分もかかる用事があるだろうか。
しばらくすると眼鏡をかけたショートカットのお姉さんが出てきて、フレンチブルに向かって「おまたせぇい！！！」と言った。
ずっと寝そべっていたフレンチブルもすぐに立ち上がって嬉しそうに尻尾を振っている。
確かな信頼関係がそこにはあった。
夜中、壁でうごめく黒い物体をみた。
ゴキブリである。
かなり勇気を振り絞って丸めた新聞紙で叩き潰す。
ゴキブリは「ボトッ」と音を立てて床に落ちた。最悪である。
あの瞬間に、私は一人の立派な男性と成った。

火曜日は5時に起きて愛媛に向かった。
昼は上司に連れられて、セルフサービスの定食屋に行った。
自分で好きなおかずを選んで、最後に清算するシステムだ。
正直、こういうものに目がない私にとっては最高の場所だった。
瀬戸大橋の交通量は高い。
夜はマギーズ（近所のカレーが美味いバー）に行った。
先週から毎日レベルで行っている。
そこで出会ったリサイクル業のオジサン（アサノさん）と友達になった。
名刺をくれと言われたが私は持っておらず、少し叱られた。
アサノさんは持っていなかった。

水曜日は仕事中のネットサーフィンが捗った。
電子の波を自在に乗りこなし、退勤した。
そのぐらい。

木曜日は福井に向かう。
昼にソースカツ丼を食べた。ソースでビシャビシャのカツが、米の上に3枚乗っていた。最高すぎる。
夜はまたマギーズに行った。1度ハマったらそればっかりになる性格である。　
アサノさんがいた。アサノさんは奥さんに足蹴にされていて、家を追い出されているらしい。44歳にしてアパートを探している、可哀そうな大人だ。

金曜日。
この時期の朝は空気が青い。
夜、よく行く定食屋に向かうついでに古着屋に寄る。神奈川から帰ってきて初めて行ったことを、店の人に言われて気づいた。
店主は入れ違いでアメリカに行ったらしい。
定食屋でから揚げ定食を頼む。
私のから揚げ定食より、隣の人のから揚げ定食のほうが大きくて量が多かった。
一体どういう意味なのか。

土曜日は不動産屋に行った後、商店街の喫茶店に行った。
店主のおじさんに顔を覚えてもらい、「おはよう」と言われた。
道で仮装をしているガキ二人に出くわした。
投票所の鉛筆が書きやすかった。

日曜日は9時に起きた。
9時に起きると大体体調が悪い。
眠すぎたので、無理やり支度をして散歩に出かけた。
喫茶店に行く。どうやらDJをしているらしい男三人と、ただ話を聞いてるだけの女一人の四人組が座っていた。
声がでかかった。
河原町に行くと、宇随天元のコスプレをした男性が前から来た。
注目すると向こうの思うツボのように思えたので、あえて見なかった。
街を歩くと、私だけが人を避けて歩いている気分になる。

募金を呼び掛ける子どもの集団がいた。
大きな声で「募金お願いしまーーす！」と呼び掛けている。
それを見て微笑ましいと思ったが、別に私は募金をするわけではない。
自分の良心の歪さに疑問が生じた。場合によってはそれを薄情だという人もいるだろう。募金をする人は確かに立派だ。でも別に立派でありたいという気持ちもない。多分そう思っている時点で私にはそういう役割を担う器はないのだ。そういう器が育つまでは、自分勝手にしていようと思う。