【書評】スタンダール『赤と黒』を読む。勇気を失えばすべてを失う。
ロッシーです。
スタンダールの『赤と黒』を読みました。
前回は、バルザックの『ゴリオ爺さん』について書評を書きました。『ゴリオ爺さん』の主人公ラスティニャックと同様、『赤と黒』の主人公ジュリアン・ソレルも野心家で出世欲バリバリの青年です。
こういう「成りあがってやる!」系の物語は好きです。
読んでいて、私も若い頃はそうだったなぁ~となんだか懐かしくなりました。
今では、昔と比べて出世欲は減りましたが、若い頃は「出世してやる!」と強く思っていました。
「俺はあんな能力もなく威張っているだけの貴族達になんか負けない! 絶対に出世してやる!」
と思うジュリアン・ソレルと同様に、
「俺はあんな能力もなく威張っているだけのオッサン達になんか負けない! 絶対に出世してやる!」
と若きサラリーマンの私は思っていたわけです。まあ、いまでも多少は思っていますけどね(笑)。
そんな風に、ジュリアン・ソレルに若き日の自分を重ね合わせて読んでいました。
「うんうん、そうだよね~わかるわかる」みたいな感じです(笑)。
『赤と黒』や『ゴリオ爺さん』のような小説は、いつの時代になっても決して無くならない物語形式なのだと思います。いわゆる青年・野心・出世の物語です。
階級や格差はいつの世でも厳然と存在しますが、その現実を変えるのは一般庶民にはなかなか難しい。だからこそ、その現実を打破しようと果敢に挑む存在を、私達は物語に求めてしまうのでしょう。
そして、そのような存在はやはり若者がしっくりきます。オッサンではやはりどこか無理があるんですよね。
オッサンになってくると、「世の中そういうものだよ」とか「出世したところで意味ないよ」と、良くも悪くもある種の諦観を抱くことが多いですが、若い頃はそうではありません。
若者は、世の中に合わせるという発想ではなく、「そういう世の中がおかしい!」という発想をするからです。多くのオッサンが世の中に合わせてしまうのと対照的ですね。
でも、それはものすごく重要なことだと私は思います。それがエネルギーに転じて、世の中を変える大きな発明やビジネスにつながるわけですから。
若い頃というのは、お金も実績もない。
では、何があるのか?といえば、社会に対して勝負を挑む「勇気」しかないわけです。それが一番の財産なわけです。
その勇気というエンジンを搭載して、世間という道路を爆走するなかで、色々な障害にぶつかったり、失敗する。でも、若い頃は傷ついてもすぐに回復してまた走り出せるわけです。
なんだか『赤と黒』の内容に全く触れておらず、全然書評じゃなくなってしまいましたね(笑)。
でも、とにかくジュリアン・ソレルの野心的な生き方を読むのは面白いです。ホントにおすすめですのでぜひご一読ください。(ってそれだけかい!)
野心ゆえに、女性の愛も勝ち取る対象でしかないジュリアン・ソレル。とにかく何でも欲しいんですよね。だって若いから(笑)。
まさにMr.Childrenの『Tomorrow never knows』の一節のようです。
でも、若い頃ってそうだと思いますし、それでいいんだと思いますよ。
最近では、野心という言葉を聞くことはあまりなくなりましたし、ギラギラした若者を見かけるのも稀なように思います。
でも、いつの時代であっても、若者には多かれ少なかれジュリアン・ソレル的なものがあると思います。
本書を読めば、あなたの中のジュリアン・ソレルが目覚めるかもしれませんよ。
そういう意味では、若い人は必読の書だと思います。
そして、勇気をもって社会に真っ向勝負してほしいと思います。
最後に一言。
最後までお読みいただきありがとうございます。
To the happy few!