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アーモンド・スウィート

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2022年7月の記事一覧

アーモンド・スウィート 受験ブルー?

アーモンド・スウィート 受験ブルー?

 秀嗣の家は、神田で製本業を営んでいる。元々は四谷にあった大きい製本会社の暖簾分けようなの形で、秀嗣の祖父と祖母が神田で始めた。父は高校を卒業すると直ぐに家業の製本屋を手伝った。父には三人の弟、妹たちがいる。三人は父と違って、妹の一人は短大を卒業して、もう一人の妹は都立の大学を卒業している。弟は大学を六年かかって卒業した。祖母は自分の甲斐性で叔父を大学まで出したと思っている。決して文句ばかり言って

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アーモンド・スウィート 勉強は修行と思え

アーモンド・スウィート 勉強は修行と思え

 彩葉は自分の部屋を持っている。女の子らしく、白とピンクと淡いブルーの家具や絨毯、カーテン、ベッドに囲まれた彩葉のお気に入りの場所だ。本棚にはひらがなを覚えた五歳の頃買ってもらった絵本が三十冊以上したの段にあり、中段二段には小学校上がる前から買ってもらった、岩波少年文庫、青い鳥文庫、偕成社文庫が並んでいる。ニンテンドーDSとニンテンドースイッチも持っているが現在は使って遊んでない。遊ぶとしたらもっ

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アーモンド・スウィート

アーモンド・スウィート

 麦畠遥佳の家は生け花を教えている。母も祖母も生け花の先生だ。遥佳自身は将来生け花の先生になるか考え中である。スイミングスクールに通うほど泳ぐことが好きで、幼い夢だがオリンピック選手にもなってみたいような気がする。大学に進んで、医者か弁護士になりたいと夢みたりもする。
 医者に成るなら脳神経外科の医者になって、人を助けたいと思う。祖父が脳梗塞に倒れ、血栓が右脳を詰まらせた為に左半身が麻痺してしまっ

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アーモンド・スウィート ゲームとジャンケン

アーモンド・スウィート ゲームとジャンケン

 (秀嗣の弟)博嗣も勉強が嫌いだ。ゲームをして居るとき、短い人生で一番の幸せを感じる。プ○イ○テーションⅤをいち早く買って貰った。ソフトも五つくらい持っている。全てRPGで、『ドラゴンクエストⅩ』も持っている。『ファイナルファンタジーⅦリメイク』も持っている。何周もやり込む派なので、飽きることはない。お兄ちゃんは熱しやすく冷めやすい性格なので、というより不器用なので少しでも行き詰まったら「なんだよ

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アーモンド・スウィート イジメから守るストレス

アーモンド・スウィート イジメから守るストレス

 今宮十夢はイジメが大嫌い。当然、自分がイジメの対象になるのは嫌である。同じくらいイジメを見るのも我慢できない。
 やりたくてしている訳ではないが、いつのまにかイジメを止める役割をクラスから期待されるようになってしまた。十夢は小学校五年生のわりに背が高く、以前は剣道をしていたから肩幅も胸幅もある。腕力だけは自信がある。もちろん箒など棒のような物を持てば、剣道の技を使って相手を撃退すことはる造作もな

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アーモンド・スウィート 何で騒ぐでいるのか

アーモンド・スウィート 何で騒ぐでいるのか

 淡路町の交差点から歩いて十分ほど、秋葉原・上野に向かって進んだ所にあるスーパーマーケット・リングリングに秀嗣は来ていた。ばあちゃんに、夕飯に焼きうどんをするからうどん玉六玉とモヤシを四袋買って来てと頼まれたからだ。リングリングの他に、神田錦町の神田警察署の前にスーパー・メイプル、神田和泉町・秋葉原にスーパー・レインボーがある。秀嗣はその三箇所のどこでも歩いて、ばあちゃんや母ちゃんに頼まれて買い物

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アーモンド・スウィート ドキドキが止まらない

アーモンド・スウィート ドキドキが止まらない

 佐野政治は悪いことをせずにはいられない。麻薬のように全身をドキドキが満たす瞬間がたまらなく好きで。毎日、誰かと喧嘩をせずにはいられない。相手が強い弱い、年が上、下、体が大きい小さいは関係ない。途中腕や足、背中が腹が痛かろうが、途中首を絞められて体を預けられて苦しかろうが、肘や膝の関節が極められても、喧嘩は勝たねばならない。喧嘩をしてる最中もドキドキして気持ちイイが、相手に勝ち、相手が泣いて逃げ帰

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アーモンド・スウィート もし中学受験のテストが国数社理以外もあったら

アーモンド・スウィート もし中学受験のテストが国数社理以外もあったら

 秀嗣は学習塾の授業の合間に、ボーッとしながらあれこれ想像してみることが多い。今回は…。
 算数が苦手だが好きだ。国語は得意だと思っている。だから好き。子供の頃(といっても小学校上がる前のこと)、全部ひらがなで書かれていた『こども名作物語り』を読んでいた。絵本は、子供過ぎて"おマメ"扱いされているように感じ反発して読まなかった。小学5年のいまでも読まない。理科も社会も、学校での授業は好きだ。好きな

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アーモンド・スウィート 夢は日本茶が好きな人を増やす。

アーモンド・スウィート 夢は日本茶が好きな人を増やす。

 秋元凜々花は、学校から帰ると家のお茶屋を手伝っている。
出来ることは少ないが、急須にお茶を入れて、適温のお湯を注ぎ、茶葉から旨味を出して茶碗に人数分いれるくらいは、小学校上がる頃から仕込まれているから出来る。あとは店に居るお客様に愛想を言ってお茶を出すだけ。そのお愛想を言ってお茶をだすだけが、まだ小学校五年生の凜々花には難しい。「こんにちは」「いらっしゃいませ」「ごゆっくり」くらいは言えるけども

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アーモンド・スウィート 友達を作りにきている訳ではない

アーモンド・スウィート 友達を作りにきている訳ではない

 学習塾での勉強に秀嗣はついて行かれなくなっている。分からない処を聞きに行けば、塾の先生は親切に教えてくれるのだが。珠恵と人志と一緒に勉強したいのに、秀嗣の周りはしらない顔ばかり。東神田小の5年生ですらなく、今和泉小か違う地区の五年生だと想像される生徒ばかり。秀嗣から話しかけても、驚かれるか愛想笑いをされる。「ちょっと…、今、集中していて…」と塾の問題集とノートを鉛筆で示されるばかり。少し前に、授

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