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アーモンド・スウィート 夢は日本茶が好きな人を増やす。

 秋元凜々花りりかは、学校から帰ると家のお茶屋を手伝っている。
出来ることは少ないが、急須にお茶を入れて、適温のお湯を注ぎ、茶葉から旨味を出して茶碗に人数分いれるくらいは、小学校上がる頃から仕込まれているから出来る。あとは店に居るお客様に愛想を言ってお茶を出すだけ。そのお愛想を言ってお茶をだすだけが、まだ小学校五年生の凜々花には難しい。「こんにちは」「いらっしゃいませ」「ごゆっくり」くらいは言えるけども、「何かお探しですか?」「どのようなお茶がお好みですか?」「普段、どうなお茶をお召し上がりになりますか?」と、父や母、祖母のようにいかない。祖父は、産地から取り寄せたお茶を独自にブレンドしたり、茶を生き返らせるためにもう一度火入れをする名人だ。凜々花は祖父にくっついて、祖父を仕事を見るが好きだ。凜々花の父は商売熱心なひとで、役割分担とか言って外へ営業周りをして忙しい。父は祖父から手ほどきを受けて、自分でもブレンドできる腕があるけども、今ひとつ自分のブレンドしたお茶の味に自信がないようだ。凜々花は注いで飲んで見るけども、父の味も、祖父の味に負けないくらい好きだ。
 凜々花も早く、自分で凜々花のお茶をブレンドして作りたい。まだ父からも祖父からも、お遊び程度にブレンドするのを許されているだけで、茶舗の商品として認められていない。凜々花にはすでに多くの人が買ってくれるブレンドのイメージがある。きっと売れると思う。それはドライフラワーを入れた日本茶だ。紅茶にハーブを入れた物がある。例えばトワイ○ングの『レディー・○レイ』とか、リ○トンの『フレーバー紅茶』のような、花だったりスパイスだったりをいれたフレーバーティーというものだ。あれの日本茶版を作って、しかも美味しく香りも良かったら、みんな買ってくれると凜々花は考えている。
 高校に入ったら、都内に有名紅茶専門店にバイトとして入って、ハーブティー、フレーバーティーの勉強をさせて貰おう。高校を卒業したら京都のお茶問屋にも働きに行きたい。テレビで見たけども、凜々花と同じようなフレーバー日本茶を考えて売っている人がすでにいるらしいから。その人の仕事も間近で勉強させて貰おう。
 バイトしたお金で、都内、日本中の紅茶専門店、茶舗を回りたい。全ての紅茶と日本茶を飲んで勉強したい。
 凜々花はフレーバー日本茶、スパイス日本茶で、日本一のお茶屋さん、お茶師に成るつもりだ。いまからワクワクしていて胸が苦しい。
 

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