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2023年美術鑑賞記録

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2023年に見た美術展色々
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#建築

【建築と衣服の共通項】特別展示 『被覆のアナロジー —組む衣服/編む建築』インターメディアテク

【建築と衣服の共通項】特別展示 『被覆のアナロジー —組む衣服/編む建築』インターメディアテク

立体。包むもの。社会的なつながり。身を守るも(カバーするもの)

と言葉を並べてみると、建築と被服の共通項はけっこうあるなと思う。
制作過程で図面、製図、設計図(パターン)という用語が出てくるのも共通していると思う。

ただ数人の集合体の身体を守るものから、その規模何千人、何万人の集合体を収容する堅牢な素材でほぼ不動な立体物である建築に対して
被服は、たった1人の体を収容する柔軟な素材で可動な立体

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【美術館の解体は避けたい】コレクション解体新書Ⅱ 1970年代以降の作品を中心に 目黒区美術館

【美術館の解体は避けたい】コレクション解体新書Ⅱ 1970年代以降の作品を中心に 目黒区美術館

目黒区美術館のコレクション展示企画。

この美術館は面積の関係でコレクション展示室を持っていない。
なので年に数回ほど、企画展のない時期にコレクション展をしている。

ここ数年、企画展ももちろん好きだが各美術館が
どんな方針で
どれぐらいの時期から
どんな作品を
集めてきたのか、が気になる。

解説には社会状況の背景や予算に悩まされたり、どんなコレクションを工夫し来たのか、また、現在の建築を活かし

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実を写す?写実絵画とは何だろう ホキ美術館

実を写す?写実絵画とは何だろう ホキ美術館

千葉県千葉市の緑区、という非常にニッチな場所に突如として現れる不思議な建築の美術館。

写実絵画が写真に見えると
写真みたい、という評価がつく。
本物の画面を見てみると、写真というよりも絵である事はわかるし、その筆跡と大画面にかかる制作時間を思う。

画面の表面がツヤがあると、それが写真の表面のツヤの様に感じ「写真みたい=写実」という感覚の図式もあるのかな、と。

ただ、いかんせん、女性のモデルや

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【柔らかな鋼】青木野枝 光の柱 市原湖畔美術館

【柔らかな鋼】青木野枝 光の柱 市原湖畔美術館

彫刻家、青木野枝(あおきのえ)の個展が市原湖畔美術館にて始まった。

氏の作品は東京国立近代美術館のコレクション展示室で見たのが1番印象に残っている。

2023年夏、豊島でも野外展示の作品を見つけ、なぜかホッとした。

非日常な旅の空間に知った作風が現れるとホッとした。神社の脇に設置されたその作品と瀬戸内海を見てしばらくボーっとした時間は良い旅の思い出だ。

今回はシンプルな展示室に青木氏の大き

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【偶然と必然は紙一重】偶然は用意のあるところに TOTOギャラリー間

【偶然と必然は紙一重】偶然は用意のあるところに TOTOギャラリー間

乃木坂駅からほど近い東洋陶器株式会社こと現「TOTO(株)」のショールーム&ギャラリー&本屋もある施設へ。
このギャラリーは建築や資材関連の展示を行っていることが多く、製図ケースを肩にかけた方々などの訪問者がチラホラ。

今回の展示概要は以下である。

と、あるが、私にとって最も馴染み深いのは東京国立近代美術館(以下、東近美)のリニューアル事業や展示構成等のお仕事である。

以前、東近美の機関紙「

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