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ロイ未来の短編集

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私の短編集を集めたマガジンになっています。
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記事一覧

【短編小説】よしの桜

【短編小説】よしの桜

銭湯に行こうと思ったのは、試合に負けたからだ。今日も勝てなかった。
まあでも試合に出れただけ、良かったと思えばいいのだろうか。

高校に入学してもうすぐ1年経つ。未だに勝てた試合が一回もなかった。
右肩にやけに食い込むように重さを感じるのは剣道の道具だった。

大きなソメイヨシノの木。それが銭湯「よしの湯」のめじるしだ。
満開を迎え、店先からこぼれる光に照らされた桜の木は、夜風に吹かれ、わずかな花

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バスに乗って【短編集】

バスに乗って【短編集】

この辺りでは見たことがないバスだ。車体の色が水色と濃い青で上下2色に色分けされている。佐々木拓也はバス停に停まった車体に貼られた「ワンマン」の少し錆びた白いプレートを見ながらそう思った。もうすぐ5歳になる息子の健太が見たら喜ぶかもしれない。
いや、あの子は乗り物より好きなものがある。

「ダーー」

小さい頃の息子の声を思い出して拓也は頬を緩めた。健太が初めて話した言葉は「ダー」だった。聞いたとき

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【短編小説3/100】 サニーサイドアップ

【短編小説3/100】 サニーサイドアップ

「たまごがない」
朝めざめて冷蔵庫を開け、ドアポケットに入っているたまごを使おうとしたとき、4個入っていたはずの1つが消えていたことに気づいた。
それから麦茶のポットが空になってシンクに置きっぱなしになっていることにも。
私は、つかつかと歩き、テレビの前でくつろいでいる彼に言う。
「ねえ、麦茶がなくなったら作っておいてって言ったじゃん」
私は空のポットを左右に振りながら、彼を見下ろす形になった。彼

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【短編小説2/100】 場所を求めて

【短編小説2/100】 場所を求めて

 「死に場所を求めていた」それなのに、一体何をやっているんだろう。
丸の内線の車内に乗り込んだとき、俺は深いため息をついた。

自殺をするなら、丸の内線ではなく、特急快速の私鉄に乗るべきだったのだ。動揺してしまったのかもしれない。駅員に行って、地下鉄のホームを出て私鉄に乗り換えようか逡巡する。
なんて言おうか。

「自殺する路線を間違えたので、払い戻しをお願いします」

そういった時の、駅員の怪訝

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