マガジンのカバー画像

哲学書評

18
運営しているクリエイター

#永井均

【読解】永井均「この現実が夢でないとはなぜいえないのか?」

【読解】永井均「この現実が夢でないとはなぜいえないのか?」

はじめに本noteは、『現代思想2024年1月号 特集=ビッグ・クエスチョン(青土社)』に所収された、永井均の「この現実が夢でないとはなぜいえないのか?」を紹介するものである。短い論文であり、文章に複雑さはないが、それがかえって難しい。

この現実が夢でないとはなぜいえないのか?永井の答えは、「この現実は夢の特徴を持ちあわせている」からだ。つまり、現実は夢っぽいのだ。
では、夢の特徴とは何なのだろ

もっとみる
「なぜ世界は存在するのか?」という問いはどういった問いなのか?永井均『哲学の密かな闘い』を読みつつ

「なぜ世界は存在するのか?」という問いはどういった問いなのか?永井均『哲学の密かな闘い』を読みつつ

問いがもっているべき構造世の中にはたくさんの謎がある。ある不幸な人はこう思うだろう。「なぜ自分だけこんな目にあうのか?」。また、ある科学者はこう思うかもしれない。「なぜこの世界はこのような物理法則に支配されているのだろうか?」。また、ある人はこう思う。「なぜ世界は存在するのだろうか?」と。

どのような問いも共通の構造をもっている。問われているあり方そのものと、それに対比される他の可能性としてのあ

もっとみる
それは私でありえようか?『西田幾多郎<絶対無>とは何か』永井均

それは私でありえようか?『西田幾多郎<絶対無>とは何か』永井均

永井均とは永井均とは日本大学の教授であり、哲学者。「独在性」という概念を提唱し、日本の哲学界でも独自の地位を築いている。ちなみにツイッターもやっている。

『西田幾多郎<絶対無>とは何か』本書は西田哲学を使って永井が独立に哲学をしたとも言うべき内容だ(永井が哲学者をタイトルに入れて書く本はどれもそうだが)。彼は、単なる解説書ではなく、自分の哲学をするための燃料として西田を利用している。そして、彼に

もっとみる