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哲学書評

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2024年1月の記事一覧

【読解】納富信留「「ある」とはどのようなことか?」

【読解】納富信留「「ある」とはどのようなことか?」

はじめに本noteは、『現代思想2024年1月号 特集=ビッグ・クエスチョン(青土社)』に所収された、納富信留の「「ある」とはどのようなことか?」を紹介するものである。納富はプラトンの専門家であり、本論文はギリシャ語の語源的な「ある」と、パルメニデス、プラトン、アリストテレス以降の西洋哲学の伝統的な探究テーマになった「ある」の意味を対比させた後、「ある」の神秘性や考えることそのものの難しさを述べて

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【読解】永井均「この現実が夢でないとはなぜいえないのか?」

【読解】永井均「この現実が夢でないとはなぜいえないのか?」

はじめに本noteは、『現代思想2024年1月号 特集=ビッグ・クエスチョン(青土社)』に所収された、永井均の「この現実が夢でないとはなぜいえないのか?」を紹介するものである。短い論文であり、文章に複雑さはないが、それがかえって難しい。

この現実が夢でないとはなぜいえないのか?永井の答えは、「この現実は夢の特徴を持ちあわせている」からだ。つまり、現実は夢っぽいのだ。
では、夢の特徴とは何なのだろ

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