第8 回「就職したい企業・業種ランキング」調査
今回は弊社独自で行っているリスモン調べ「就職したい企業・業種ランキング」調査を取り上げたいと思います♪
「リスモン調べ」とは、リスクモンスターが独自に調査するレポートのことです。「企業活動」に関するさまざまな切り口の調査を実施することで、企業格付の更新に役立てていくとともに、情報発信を行うことで新しい調査ターゲットの創出、新サービスの開発などに取り組んでおります。
こんにちは、佐々木正人です。
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■ 調査の概要
1. 調査名称 第8回「就職したい企業・業種ランキング」調査
2. 調査方法 インターネット調査
3. 調査エリア 全国
4. 期間 2022年1月14日(金)~2022年1月26日(水)
5. 調査対象者 2023年3月卒業予定の大学3年生男女個人
6. 調査対象企業と選定方法 各業界の大手企業・組織200社を抽出
7. 有効回収数 500サンプル
8. 回答者の属性
性別・文理別
地域
※地域は、現在の所在地を集計
1.調査結果
[1] ランキング結果、選択理由
「就職したい企業・業種ランキング」のランキング1位は、「地方公務員」(回答率16.2%)。次いで「国家公務員」が2位(同11.8%)、「ソニー」が3位(同4.2%)となり、以下4位「パナソニック」(同3.8%)、5位「味の素」(同3.6%)、6位「グーグル(Google)」、「資生堂」(同3.2%)と続いた。(図表A)
過去の調査結果と比較したところ、4年連続で1位「地方公務員」、2位「国家公務員」となり、公務員の安定した人気がうかがえる。
3位以下では、「ソニー・ミュージックエンタテインメント」(前回50位→今回8位)や「TBS」(同134位→同16位)など、メディア関連企業のほか、「講談社」(同20位→同9位)、「集英社」(同19位→同16位)など出版社の上昇が目立つ。
また、「資生堂」(同24位→同6位)、「カルビー」(同50位→同12位)、「任天堂」(同62位→同12位)、「ニトリ」(同111位→同16位)などが大きくランクアップするなど、前回から大幅に順位を上げる企業が目立った。
一方、アマゾン(同5位→同47位)、日本赤十字(同7位→同28位)、「東海旅客鉄道(JR東海)」(同9位→同57位)、「全国農業協同組合連合会(JA全農)」(同11位→同115位)などが、前回から大幅にランクダウンしたほか、第1回調査時(2015年)から毎回ランクインしていた「日本郵便」が今回初めてランク圏外になるなどランキングが大きく変動する結果となった。
なお、本アンケート調査においては、サンプル収集の都合上、女性の回答割合が高い状態での集計となったため、女性の意向が強くランキングに反映されている点は考慮すべき点といえる。
就職したい企業を選択した理由について自由回答で尋ねたところ、1位の「地方公務員」については、「安定している」、「地元で働きたい」という意見が多く、地元での安定した働き方が人気となっている様子がうかがえる。3位以下の民間企業では、「有名だから」、「憧れがあるから」といった意見が目立ち、企業の知名度やイメージから就職を希望している学生が多いと考えられる。(図表B)
[2] 文理・男女比較
就職先として望む会社を文系・理系別に集計したところ、文理ともに「地方公務員」(回答率 文系21.2%、理系11.2%)、「国家公務員」(同 文系12.8%、理系10.8%)がトップ2を占めた。
文理別では、理系上位11社中8社が製造業となった一方、文系では上位11社中9社が非製造業となり、文理別の業種選定に違いがうかがえる。(図表C)
男女別では、男女ともに「地方公務員」と「国家公務員」がトップ2を占める結果となる中、男性において「ソニー」、「パナソニック」、「富士通」など、電気機械器具製造業が上位となった一方、女性においては「味の素」、「森永乳業」、「明治」などの食料品製造業が上位にランクインする結果となった。前回の調査結果と比較すると男女ともに上位企業に大きな変動はみられず、人気企業の傾向は継続しているものと考えられる。(図表D)
[3] 業種別
就職したい業種について集計したところ、1位「公的機関・その他」(回答率26.4%)となり、2位「IT・情報通信」(同8.8%)、3位「食品・農業」(同6.8%)と続いた。上位2業種は前回順位から変わらず、引続き高い人気となっている。
文理別では、文系理系のどちらにおいても「公的機関・その他」がトップとなる中、理系学生では2位「IT・情報通信」、3位「食品・農業」となり、文系学生では、2位「金融・法人向けサービス」、3位「エンタメ・レジャー」となった。(図表E)
就職したくない業種について集計したところ、1位「金融・法人向けサービス」(同14.4%)、2位「小売・外食」(同12.0%)、3位「自動車・重機械」(同9.8%)となった。上位2業種は前回順位から変わらず、引続き就職したくない業種となっている。(図表F)
[4] 就職先選定において気になる点
就職先の選定において気になる点について調査したところ、1位「給与額」(回答率 51.6%)、2位「福利厚生」(同 34.8%)、3位「雇用形態(正社員・契約社員など)」(同 26.8%)となり、以下「勤務地」(同 24.8%)、「残業時間」(同 23.8%)と続いた。上位3位項目は、前回調査結果と変わらず、特に「給与額」は、学生の就職先選定における最も重要な点となっている。(図表G)
[5] 最低限実現したい生涯最高年収
最低限実現したい生涯最高年収を調査したところ、「500 万円以上 600 万円未満」(同 16.2%)が最も多く、「700万円以上 800 万円未満」(同 12.8%)が2位、「400 万円以上 500 万円未満」(同 11.8%)が3位となった。
民間給与実態統計調査(令和2年度)によると、民間企業の平均年収は433万円となっており、400万円以上600万円未満に回答が集中していることから、「平均所得を上回れば良い」と考える学生が多く存在していることがうかがえる。
また、男女別では男性よりも女性、文理別では文系よりも理系学生において1,000万円以上の給与を実現したいとの回答が多く、それぞれより高い年収を希望している。(図表H)
[6] 採用面接のリモート化に対する意識
新型コロナウイルスの感染拡大によって増加している「採用面接のリモート化」について、どのような意識を持っているかを調査したところ、「非常に良い」、「どちらかといえば良い」(回答率55.0%)が、「どちらかといえば悪い」、「非常に悪い」(同13.2%)を大きく上回った。(図表I)
「良い」と回答した理由は「効率的に時間を利用できる」(同 39.6%)が最も多かった一方、「悪い」と回答した理由は「意思疎通が難しい」(同40.9%)が最も多い結果となった。(図表J)
2.総評
厚生労働省発表の2021年平均の有効求人倍率は、1.13倍と前年比0.05ポイント低下し、2年連続の低下となった。引続き求人数超過の状況が続いているものの、以前のような「売り手市場」ではなくなってきている。かかる中、学生がどのような意識で就職活動に臨んでいるか調査したのが、「就職したい企業・業種ランキング」アンケートである。
アンケートの結果、4年連続で就職したい企業1位「地方公務員」、2位「国家公務員」となった。公務員の安定性が人気の理由として多く挙げられており、学生の安定志向の高さがうかがえる。
男女別のランキングでは、男性における「ソニー」や「パナソニック」などの電気機械器具製造業、女性における「味の素」、「森永乳業」、「明治」などの食料品製造業が前回調査から引続き人気となっており、コロナ禍においても学生の就職希望企業に大きな変動はみられていない。
就職先選定において気になる点では、過半数の学生が「給与額」と回答しており、給与が企業選定における最重要ポイントとなっている一方、最低限実現したい最高年収は、「500万円以上~600万円未満」の回答が最も多く、給与は重視するものの高望みはせず「平均よりも少し高い程度の給与額」を希望する学生の安定志向がうかがえる結果となった。
また、コロナ禍における採用活動のオンライン化が広まっていることを受け、リモート面接に対する意識を調査したところ、「効率的に時間を利用できる」、「感染リスクを回避できる」、「遠方でも面接を受けやすい」などのメリットを感じている学生が多く、過半数がリモート面接に対して好意的な意見を持っている結果となった。
新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中、本アンケートの結果によると、公務員の人気が続いており、学生の志向としては高望みせず、安定性を求める傾向が続いているといえる。
現在の大学3年生は、大学生活の多くの時間をコロナ禍で過ごしており、企業への直接訪問やOB・OGから話を聞く機会など活動が制限される中で、今後長きにわたって務める企業について十分に知ることが難しい状況にある。
かかる中で、採用活動のオンライン化に好意的な意見が多いことは、少しでも多く企業について知る機会を得たいという学生の意思を反映したものと考えられる。
企業としては、経営の安定性はもちろんのこと、時代や環境の変化に柔軟に対応できることが、学生から選ばれるために必要な要素であることを理解し、オンラインによる会社説明会やリモート面接などを積極的に活用して、学生との接点をより多く確保する工夫に努める必要がある。
本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみに!では!
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