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第8 回「企業の 取引リスク に対する意識 」 調査

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■ 調査の概要
1.  調査名称 
第8回「企業の取引リスクに対する意識」調査

2.  調査方法 
インターネット調査およびダイレクトメール調査

3.  調査エリア 全国

4.  期間
リスクモンスター会員(以下、RM会員) 2021年10月13日(水)~11月12日(金)
リスクモンスター会員を除く(以下、非会員) 2021年7月1日(木)~11月15日(月)

5.  調査対象者 RM会員2,966社及び売上高10億円以上の非会員1,689社

6.  有効回収数 RM会員 1,033サンプル、非会員 306サンプル

1.調査結果

[1]  「企業の取引リスクに対する意識」/業況判断DI

日本国内の企業に対して、景況感に関するアンケート調査を行い、1,339社より回答を受領した。全体では、「景況感はよくなった」と回答した企業の割合と「景況感は悪くなった」と回答した企業の割合の差(DI)は、+5.8ポイントとなった。

2020年調査時(DI値▲56.5ポイント)に比べて、景況感が大幅に回復している様子がうかがえる。RM会員(同+12.1ポイント)がプラス値を回復している一方、非会員(同▲15.4ポイント)は引き続きマイナス値で推移しており、RM会員における景況感の回復が顕著に表れている。(図表A)

 [2]  「企業の取引リスクに対する意識」/業種別業況判断DI

業況判断DIを業種別に見ると、15業種中9業種がプラス値、4業種がマイナス値となった。前回調査時と比較すると、15業種すべてにおいて前回よりも改善している。

特に回復が顕著な業種としては、「製造業」(DI値前回▲62.7ポイント→同今回+16.3ポイント)、「生活関連サービス業、娯楽業」(同前回▲87.5ポイント→同今回+30.0ポイント)、「医療、福祉」(同前回▲16.7ポイント→同今回+50.0ポイント)となった。

一方、DI値のマイナスが継続している業種としては、「複合サービス業」(同前回▲100ポイント→同今回▲33.3ポイント)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(同前回▲55.6ポイント→同今回▲23.1ポイント)が目立った。

[3]  「企業の取引リスクに対する意識」/地域別業況判断DI

業況判断DIを地域別に見ると、8地域中4地域においてプラス値に回復しており、特に「近畿」(同前回▲65.2ポイント→同今回+12.4ポイント)、「関東」(同前回▲54.3ポイント→同今回+9.0ポイント)など都市部でのプラスが目立った。

一方、「北海道」(同▲23.1ポイント)、「九州・沖縄」(同▲19.4ポイント)、「四国」(同▲16.7ポイント)はマイナス値が続いており、景況感の回復途上である様子がうかがえる。

[4]  「企業の取引リスクに対する意識」/倒産数見通し

2022年度の倒産動向予想についてアンケート調査を行ったところ、「倒産数は若干増加すると思う」(回答率62.6%)と「倒産数は大幅に増加すると思う」(同9.6%)を合わせると、全体の72.2%が今後「倒産数は増加する」と考えていることが明らかとなった。

業種別では、15業種すべてにおいて「倒産数は増加すると思う」が半数以上の回答率となり、特に「農業・林業」、「不動産業、物品賃貸業」、「医療、福祉」、「複合サービス業」において「倒産数は増加すると思う」が8割超に達した。

地域別では、すべての地域において、「倒産数は若干増加すると思う」の回答が最多となった。特に「九州・沖縄」においては「倒産数は大幅に増加すると思う」(同24.7%)、「今後倒産数は増加すると思う」(同80.9%)がいずれも全国最多となっており、危機感が高い様子が表れている。(図表B)

[5]  「企業の取引リスクに対する意識」/問題債権の発生

直近3年間の貸倒れ・回収遅延の発生状況を調査したところ、約4割の企業が「貸倒れまたは回収遅延が発生した」(同38.4%)と回答し、そのうちの約6割が「貸倒れが発生した」(同23.9%)と回答している。

一方、「貸倒れおよび回収遅延は発生していない」に関しては、RM会員(同63.9%)が非会員(同54.5%)を大幅に上回っており、RM会員においては、リスクを回避できている企業が多い様子がうかがえる結果となった。(図表C)

[6]  「企業の取引リスクに対する意識」/貸倒れ金額

[5]において、「貸倒れが発生した」と回答した企業に対して、直近1年間の貸倒れ発生金額を調査したところ、最も回答率が高い金額帯は「1百万円未満」(回答率59.1%)であった。

全体でも、「5百万円未満」(同83.0%)の貸倒れが大半であり、比較的少額の貸倒れに留まっている様子がうかがえるが、業種別に見ると、「金融業、保険業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「不動産業、物品賃貸業」においては、「10百万円以上」の高額債権の貸倒れが発生しやすく、与信管理の重要性が特に高い業種であることがうかがえる。(図表D)

[7]  「企業の取引リスクに対する意識」/貸倒れ社数

 さらに「貸倒れが発生した」と回答した企業に対して、直近1年間の貸倒れ発生件数を調査したところ、「0~1社」(回答率52.4%)が最も多く、約9割が「5社以下」(同91.4%)の貸倒れに留まっている。

業種別では、「金融業、保険業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「生活関連サービス業、娯楽業」、「不動産業、物品賃貸業」において、地域別では、「関東」において、「6社以上」の貸倒れ発生件数の割合が高くなっており、与信リスクが高い業種、地域として注意が必要といえる。(図表E)

[8]  「企業の取引リスクに対する意識」/与信管理コスト

直近1年間の与信管理コスト(※)について調査したところ、全体では、「0.5百万円未満」(回答率37.0%)が最も多く、次いで「0.5百万円以上1百万円未満(同18.9%)、「2百万円以上5百万円未満」(同15.9%)、「1百万円以上2百万円未満」(同14.0%)の順となった。

RM会員、非会員ともに「1百万円未満」の割合が過半数を占めており、与信管理に対して多額のコストをかける企業は少ないことがうかがえる。

業種別では、「宿泊業、飲食サービス業」において、「10百万円以上」(同33.3%)のコストを使用している企業の割合が高くなっている。一方、「農業、林業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「医療、福祉」においては、5百万円以上の与信管理コストを使用しておらず、与信管理にかけるコストは、業種により異なる様子が表れている。(図表F)

※与信管理コスト…与信管理業務において、企業の信用評価を行うために収集する情報や利用するサービスに費やすコスト。

[9] 「企業の取引リスクに対する意識」/与信管理コストの使い道と問題債権の発生

直近1年間の与信管理コストの使い道を調査したところ、最も回答率が高かったのは、RM会員では「リスクモンスター与信管理サービス」(回答率82.4%)、非会員では「調査会社の企業概要データ」(同80.6%)となっており、RM会員においては、リスクモンスターサービスを与信管理の主軸として活用していることがうかがえる。 (図表G)

また、問題債権の発生状況と照らし合わせてみたところ、「リスクモンスター与信管理サービス」(同65.7%)、「調査会社の信用調査レポート」(同 58.6%)、「反社チェックサービス」(同 58.6%)が貸倒れや回収遅延の発生防止に寄与している結果となった。

特に「リスクモンスター与信管理サービス」の利用者の3分の2は貸倒れおよび回収遅延は発生していないと回答しており、他サービスよりも貸倒れや回収遅延の発生防止に寄与しているといえよう。(図表H)

[10] 「企業の取引リスクに対する意識」/与信管理予算の増減と問題債権の発生

昨年度と今年度の与信管理に対する予算の増減を調査したところ、「変わらない」(回答率74.4%)が最も多く、次いで「予算が増加した」(同20.0%)、「予算が減少した」(同5.6%)という結果になった。

また、予算の変動に対して、近年の貸倒れ・回収遅延の発生状況を合わせて調査したところ、「経営への影響が大きい貸倒れ」が発生した企業の4分の3が「予算が増加した」(同75.0%)と回答しており、経営への影響や未回収額が大きかった企業ほど、与信管理予算を増加している様子が表れている。(図表I)

[11] 「企業の取引リスクに対する意識」/与信管理の課題

与信管理業務に対する課題を調査したところ、全体では、「取引先情報の収集」(回答率53.0%)が最も多く、次いで「営業担当者の教育、マインド向上」(同39.1%)、「与信限度額の決定」(同35.5%)の順となった。上位3項目は前回調査から変化がなく、継続的な与信管理の課題となっている様子がうかがえる。(図表J)

2.総評

第8回(2021年)調査における業況判断DIは、+5.8ポイントと2014年の第1回アンケート以降、最大のマイナス値を記録した前回(2020年)調査(▲56.5ポイント)から大幅に回復する結果となった。

前回調査は、コロナ禍に終息の兆しがみられない中でのアンケートであったことで、先行きの不透明感からネガティブ意見が多く見受けられたが、今回は、ワクチン接種等によって感染者が大幅に減少し経済活動の制限が解除されつつあることや、金融機関による実質無利子・無担保融資などの政策によって倒産発生が抑制されていること等が、全体的に景況感を押し上げた要因と考えられる。

しかしその一方で、全体的に景況回復の兆しが見られる中でも、アンケート回答企業の7割超が「今後倒産数が増加すると思う」と回答している現状を考慮すると、昨年のような先行きの暗い状況からは脱しているものの、業況が回復軌道に乗ったと捉えている企業は少ないものと考えられる。

 本調査対象となった非会員は、売上10億円以上かつRM格付がD格以上の企業が中心であり、零細企業や信用力の低い企業は含まれていない。

RM会員と非会員の企業規模に大差がない中で、RM会員においては、景況の回復感が顕著であり、非会員よりも回収異常の発生割合が低く、RMサービス利用者の3分の2は回収異常が発生していないこと等を考えれば、RMサービスがコロナ禍における回収異常の回避に有効であり、直近の景況感回復に寄与している。

今後もリスクモンスターとしては、与信管理の重要性を啓蒙し、リスクモンスターサービスを活用して与信管理を行う会社の貸倒れ回避や取引リスクの回避に寄与し、会員企業の発展に貢献していきたい。

図表A 第8回「企業の取引リスクに対する意識」調査/業況判断DI (n=1,339、RM会員=1,033、非会員=306)

図表B 第8回「企業の取引リスクに対する意識」調査/倒産数見通し (n=1,339、RM会員=1,033、非会員=306)

図表C 第8回「企業の取引リスクに対する意識」調査/問題債権の発生状況(n=1,160、RM会員=868、非会員=292)

図表D 第8回「企業の取引リスクに対する意識」調査/1年間の貸倒れ金額 (n=276、RM会員=186、非会員=90)

図表E 第8回「企業の取引リスクに対する意識」調査/1年間の貸倒れ社数 (n=269、RM会員=182、非会員=87)

図表F 第8回「企業の取引リスクに対する意識」調査/直近1年間の与信管理コスト (n=1,059、RM会員=782、非会員=277)

図表G 第8回「企業の取引リスクに対する意識」調査/与信管理コストの使い道(n=1,044、RM会員=765、非会員=279 /複数回答)

図表H 第8回「企業の取引リスクに対する意識」調査/与信管理コストの使い道と問題債権の発生(n=1,079、RM会員=787、非会員=292/複数回答)

図表I 第8回「企業の取引リスクに対する意識」調査/与信管理予算の増減と問題債権の発生 (n=1,072)

図表J 第8回「企業の取引リスクに対する意識」調査/与信管理の課題 (n=1,067、RM会員=783、非会員=284)

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