発酵の専門家を知りたくて:お味噌
昨年ひょんなことから興味を持ちだした発酵。
発酵という現象や、自分で発酵食品をつくったり美味しく食べたりすることに興味があるのはもちろんですが、お味噌やお醤油の醸造に仕事として携わっている「人」のことも知りたいと思っています。
糀屋本藤醸造舗さんのオンライン発酵サロン
そんなときに知った「オンライン発酵サロン」
長野県須坂市にある、創業明治2年のお味噌屋さん、糀屋本藤醸造舗さんが開催されているズームでのオンライン講座です。
★糀屋本藤醸造舗さんのサイトはこちら⬇️
★先日は、なーんとあの中田英寿さんがラジオ番組の取材で来店されたそうです⬇️
糀屋本藤醸造舗さんでは、お味噌や塩麴、甘酒をオンラインで一緒につくる「発酵教室」と、本藤社長に発酵やお味噌についていろいろ話しを聞くことができる「発酵サロン」の2つを毎月開催しておられ、私が今回参加したのは「発酵サロン」。
今日はラッキーなことにマンツーマンで1時間(+もう少し)。
本藤社長にたっぷりお話しを聞くことができました。
事前に質問リストをお送りしていたのですが、2ページビッシリ書いておいた内容もすべて丁寧にお答えて下さり、まさに「お味噌の家庭教師」のよう。
手造り味噌の育て方や、塩切麹、味噌の表示や保管方法、そして美味しいお味噌汁の作り方まで、「初心者あるある」の質問もしましたし、糀屋本藤醸造舗さんのこだわりと「本とお味噌のギフトセット」(⬅️私はこのギフトセットを見つけて、「本とお味噌」の組み合わせに魅かれてファンになった次第)についても聞いてみました。
迫力のみそ玉
販売されているお味噌の説明で面白かったのが「みそ玉」(商品名は玉造りみそ)。
みそ玉はもともとは空中の菌を付着させて、味噌に独特の風味が生まれるように各家庭でも作っていたものだとのこと。日本各地に見られるものの、信州のみそ玉は大きくて1キロぐらいのものが多いそうです。ただし、糀屋本藤醸造舗さんのはもっと大きくてなんと2キロ!
「みそ玉」は、糀屋本藤醸造舗さんでは蒸煮した大豆を円筒形に成形し、麹菌をつけてから麹室に入れ発酵させたのちに、みそ玉をつぶして米麹と塩を混ぜて仕込んでおられるようです(HPの画像より⬇️)
こちらの本藤社長のインスタの「みそ玉」写真、非常に迫力あったので、ぜひご覧になって下さい⬇️
私も「ケーキカット」ならぬ「みそ玉カット」してみたい!
お味噌屋さんと木桶
また、木桶で醸造する味噌へのこだわりについても教えてもらいました。味噌を発酵させる杉の巨大な木桶は150年ほども使えるものの、「たが」と言われる竹でできた「輪っか」は(なんと!16メートルもある特別な竹でできているそうです)途中で修理が必要になるらしく、修理ができる職人さんがいる会社が今では大阪に一社しか残っていないとのこと。
醤油業界では、この現状を何とかせねばと、しばらく前から「木桶職人復活プロジェクト」として木桶づくりに向けて活発な動きがあるようです。詳しくはこちら⬇️
お味噌屋さんと木桶について言えば、木桶は「蔵付き菌」という、それぞれの蔵に固有の菌の住処になっているので、その蔵独自のお味噌の風味を出すためにも、とても大切な存在だそうです。
ただ、液体のお醤油やお酒と違って、お味噌は固形・半固形物なので、お味噌を木桶から掘り出さねばならないのが大変な重労働だとか。想像するだけでも確かに大変そうですよね。そのために、木桶を使う味噌蔵さんはドンドン減っているのが現状だそうです。
本藤社長の信条
糀屋本藤醸造舗さんは、「地元の原料を使って」「手造りの」「天然醸造」のお味噌を木桶でこれからも造っていきたいとおっしゃっていました。
本藤社長の信条を伺ったのですが、とてもステキだなと思ったので、最後に書いておきたいと思います。
◆「醸造は人格なり」
◆「醸造とは微生物と対話する仕事」
◆「不易流行」(注:松尾芭蕉の俳諧の理念だそうです。不勉強な私は改めてコトバンクで調べてみました⬇️)
◆紙上談兵(「しじょうだんぺい」と読むようです。こちらも知らなかったので「四字熟語辞典」で調べました⬇️)
発酵・醸造は、科学的知識や分析をもとにすべて緻密に計画しても思い通りにならないこともあり、でも、科学的知識を取り入れなければ、質の良いものはなかなか安定してはつくれない。だからこそ大変でしょうし、だからこそ面白いのでしょうね。
知識×実践であるために
私は(消化不良になりながらも)このところ発酵の知識はせっせと仕入れているものの、発酵の現場を身をもって知るということが全くできていないと痛感しています。だから、知識が定着しないのかな。
「紙上談兵」にならないよう、どこかで武者修行の必要アリと真剣に考える今日この頃です。