自身の病状を振り返る ~抑うつ状態による休職~
私が抑うつ症状として正式に診断され、休職することになったのは2021年の春です。無事復帰できましたが、あれからもう1年半経つと思うと、あっという間です。
ただ当然、診断される数ヶ月前から鬱っぽい症状は出始めていて、そういう意味では、仕事が辛いなと悩み始めたのは2020年の夏から(休職する7~8ヶ月前から)でした。
休職までの病状・経過としては、以下のような感じです。
◆2019年12月
IT関連の法人営業として中途入社。社会人3年目。前職は、別業種の営業職でした。大企業→未上場ベンチャーへの異業種転職です。当然、仕事内容も職場の風土も全く違います。
◆2020年3月
コロナ禍による在宅勤務に全面移行。パソコンさえあれば仕事できる職務内容だったので、当時一人暮らししていた都内の自宅で勤務していました。
職場での主なコミュニケーション手段はslackで、会議時にzoomを使うという感じです。
業務の知識も業界の知識にも乏しく、上司や先輩に引っ付いて逐一指示を仰ぎながら仕事をしている状態。望んで入った会社なので、多少の不明点があっても基本モチベーション高く仕事をしていました。
◆2020年7月
この辺から、仕事で悩み出す。だんだん任される仕事の幅が増えてきた時期で、徐々に自分が直接お客さんや他部署の社員とやりとりして仕事を進めるようになっていました。
とはいえまだまだわからないことが大半という状況下。自社の扱っている商材を理解しようとすると結構専門知識が必要で、仕事内容を理解しながら社内外と連携するのがとにかく大変だった。
リモート勤務だったので、社内で質問するとなると、ほぼ全てslackによる文字のコミュニケーションなのですが、文章だけではなかなか聞きたいことが理解できない、というのが一番の悩みでした。なんというか、自分の質問に対する回答メッセージをもらっても、専門的な知識が絡んでくるがゆえに、その回答一発だけで内容を理解できないことがほとんどなんですよね。
なので、「◯◯◯という理解であってるでしょうか?」「それは、つまりこういう意味でしょうか?」みたいな確認を2回も3回も繰り返してようやく理解できる。相手や状況よっては、それでもなお理解できないことも多々あった。
同じ部署の人だったらまだ面識があるのでいいんですが、会ったことも話したこともない他部署の人と、そのようなやりとりを繰り返すのが心理的にきつかったです。「何回も聞いて申し訳ない」「もっと知識のある人なら早く理解できるんだろうな」という心境でした。
上司(=大抵の事情がわかる人)にzoomで色々質問する機会もあるにはあったのですが、その上司が時期問わずとにかく忙しく、聞ける時間が本当に少なかった。ベンチャーあるあるです。やっと捕まえても、聞きたいことの2-3割しか聞けないという状況。上司のスケジュールは、日中は会議がびっしり入っているという状況なので、なんとか捕まえられても業務時間外の朝か夜。必然的に長時間労働に…。
またこの上司、決して悪い人ではないのですが少々クセが強く、自分との相性はあまりよくなかった。営業の手腕はものすごい人なんですが、部下が真似できないタイプの感覚的な営業スタイルなので、アドバイスはくれるものの実践できずあまり解決しなかったり、事務的なことがとにかく苦手な人だったので会社の細かいルールを無視することで部下が板挟みに遭ったりと、完全にマネジメント<<<プレーヤー向きの上司でした。だから、本当の意味で悩みを理解してもらえたり、解決につながるアドバイスをもらえることは、あまりなかった。まあベンチャーなんてこんなもんかなと思っていたし、(時間さえあれば)聞いてくれる人であるだけマシだと思うようにしていました。
そんなこんなで、大きな悩み事があるときは食欲が落ちたり、寝つきが悪くなったり。これはまあ元々の気質でもあるというか、この程度のことは前職時代でも経験がありました。
徐々に、仕事が終わっても平日の夜はなかなかオフモードに切り替えられない、ということが増えました。とはいえこの頃はまだ、土日は気持ちの切り替えができていたかなあと。
◆2020年10月
長年つきあった彼氏との結婚が決まる。嬉しかったです。仕事が辛くても結構頑張れるモチベーションに。
◆2021年1月
引っ越しして、夫と同居開始。
仕事は相変わらずハード。苦手なタイプの顧客との折衝や、ウエイトの重い契約の取りまとめもなんとかこなしていた時期。
依然として、「わからない」という焦燥感に常に苛まれながら、手探りで仕事をしている感覚でした。
一方で、「もう入社して1年経ったのだから、もっと自分で仕事を回していけるようにならないと」「いつまでも上司の指示を仰ぐばかりだったら、わたしが雇われている意味がない」「自分で勉強して、考えて、判断できるようにならなければ」という考えに強く囚われ、自分の力でなるべく解決しようとすることに注力していたと思います。
この頃には仕事をキリのいいところで切り上げる、ということが全然できず、いつも遅くまで仕事をするように。
私は自分の関わる仕事について、内容が不透明なまま進めるのが嫌でした。特に、他者から質問や指摘を受けた際に、的確に答えられないという状況をすごく恐れていました。突っ込まれること、それに対して上手く答えられないことは自分の無能さを証明することだと思っていて、顧客から無能だと思われれば信用を失うし、社内から無能だと思われるのも恥ずかしいことでした。
そんな状況を回避すべく、不安材料を一つ一つ打ち消していくような仕事の仕方をしていたので、業務の知識不足もあいまって、とにかく時間がかかりました。
そのとき考えられる不安材料をすべて解消しないと、不安や心配で仕事のことが頭から離れず、寝つきもものすごく悪いのです。
とくに話題の重い社内会議や商談の前日は、不安で3時間は寝付けないことが当たり前でした。
「不安を残すから寝られなくなる。ちゃんと寝るためにも、この仕事は今日のうちに全部終わらせよう!」という発想になり、ますます長時間労働に。完璧主義の典型ですね。。
ちなみに、実際に周囲から無能かと思われていたかというと、そんなことはないと思います。いろんな人に「しっかりしてるね」と言われていたし、人事評価でも最高点をつけてもらえて年収増額が決まるなど、上司からの評価も上々でした。
夫婦共に在宅勤務なのですが、仕事を中断して料理をしたり家事をする、ということも思うようにできなかった。
仕事を切り上げる、ということが、とにかくできていなかったと思います。
夜だけでなく、寝起きも最悪でした。まず仕事の悪夢を明け方に頻繁に見る。ほぼ毎日見てました。朝目覚めたときから、気分が重く、仕事が憂鬱だという気持ち。やるべき仕事や会議がある時は義務感に急き立てられて、早起きして取り掛かるのですが、そうでないときは、とにかく仕事が嫌なのでギリギリまでベッドにこもっていました。
ちなみに夫との仲は交際当時から良好で、先述の通り、結婚自体ももちろんとても嬉しい出来事でした。
「これからはいつも大好きな夫が家にいる。仕事でいやなことあっても頑張れる、踏ん張れる」と思っていたのに、実際は逆でした。
今思えば、結婚生活に対しても理想が高かったのかもしれません。仕事を頑張りつつ、美味しい料理をつくって夫に喜んでもらって楽しく食事をして、夫と一緒に部屋でくつろぐという幸せな結婚生活。結婚して夫と暮らせさえすれば、どんな仕事のストレスも乗り越えられるに違いない。。
でも実際は、先述の通りなかなか食事の準備まで手が回らず、夫がやってくれることの方が多くて、私より夫の方が家事をやっている。夫は夫で暇なわけではないので、掃除が行き届かずに散らかっていく部屋。
夫に食事を用意してもらうたびに「申し訳ない」と引け目を感じたり、ギブアンドテイクの発想で「その分なにか別の家事をして穴埋めしないと」とかそんなことを考えて生活をしていました。こういうことも積み重なって、仕事・私生活の両軸で、自分のメンタルを追い詰めていってしまったと思います。
◆2021年2月
平日だけでなく、休日も仕事のことが頭から離れなくなるように…。
具体的にどの仕事、というわけではなくても、不安やプレッシャーに追われながら仕事をしているときの平日のネガティブなマインドから、上手く気持ちを切り替えられなくなっていました。
例えば夫とドライブしているとき、リビングでアニメをみている最中でも、不安で落ち込んだ気持ちが離れないのです。ストレスでしくしく泣くことも多々ありました。
新婚なのに、思い切り日常を楽しめていない…とますます自分を悲観するように。
寝れない、食欲がない、落ち込む、泣く。フルコースですねw
ネットで色々調べて、「これはうつなんじゃないか?」と、休職がチラつくようになったのもこの頃。
でも仕事は忙しいし、私が休んだら上司をはじめ多方面にどれくらい迷惑がかかるか…。
業界によるかもしれませんが、営業職はそれぞれが顧客を担当する以上、属人性を排除するのがとても難しい職種だと思います。この顧客のことは、私しかよく知らない、ということが多々ある。上司や部署が大まかな状況を把握していても、顧客独自のやり取りの仕方・タイミングや細かいルールなど、お客さんとコミュニケーションを取る上で必要なことを全て共有するというのは至難の業です。
そもそも、周りの社員もあんなに忙しいのに、私の分の業務が追加でふりかかるとか、こなせるわけなくない?と思ってました。
◆2021年3月
症状はさらに悪化。四六時中、不安や落ち込んだ気持ちがつきまとっていました。
直接的な仕事の悩みのみならず、「自分は無能だなあ」「今の自分は成功者からは程遠いなあ」ということを考えては深く落ち込み、ベッドに潜りながら泣いているということがしょっちゅうありました。常に自分を責め続けてしまう状況があまりにしんどく、ようやく本格的に休職しようと決め、まずは心療内科を受診することにしました。
このとき初めて知ったのが、たいていの心療内科は、すぐに初診の予約が取れるというわけではないこと。1週間どころか、予約とれるのが1ヶ月以上先とかザラでした。
1ヶ月も待ってられん!ということで、会社への相談も兼ね、会社の労務担当に「こういう状況だから、産業医と面談をしたい」と相談しました。
取り急ぎ、まずは労務担当から事情をヒアリングされることに。症状や過程を包み隠さず説明し、つらいから休みたいという意向もこのときから伝えました。
産業医との面談はその1-2週間後だったかなと思います。内容はうろ覚えですが、結構ライトな感じで、労務担当と同じようなことを説明した気がします。とりあえず心療内科を受診して、やはり診断書が必要ということでした。
自宅からやや遠いところにある、予約なしで初診を受け付けてくれている病院を受診。
お医者さんに症状を話すと、「抑うつ状態」で診断書を出しますね、と言われました。休職期間を選ばせてくれたのが印象的というか、驚きでした。
診察は丁寧で優しい口調で行ってくれたけど、メンタル疾患による休職対応のテンプレートという感じで、診断書の内容は医師自身の判断というより「とりあえず患者の意向に沿って出しますよ」というスタンスなんだなと、そういうものなんだなあと実感しました(非難しているわけではないですよ)。休職1ヶ月で持ち直す自信はなく、かといって6ヶ月だと会社に言いにくいな…と思い、3ヶ月で出してもらうことに。
あとは、自殺願望の有無も聞かれましたね。「自殺したいとは思わないが、自殺したくなる人の気持ちはわかるようになった」と答えました。本当にその通りだったので。
その後、会社に診断書を提出して、1週間で引き継ぎをし、4月から3ヶ月、休職することが決まりました。詳細はどこかに書きますが、このあと期間を1ヶ月伸ばして、結果としては4月〜7月までの合計4ヶ月、仕事を休みました。
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