南フランス、プラムヴィレッジへ。
こんにちは。大学生ヨーガ講師の林 凜華(Rinka)です。
約2ヶ月間かけて、ヨーロッパにあるアシュラムやリトリートセンターを訪ねる旅をした。北ドイツのアシュラムから鈍行列車と夜行バスに揺られ、南フランスのボルドーへ。周りは見渡す限りのワイン畑。
ベトナム戦争時代を生きていたティク・ナット・ハンは、21世紀に仏教を振興させ、マインドフルネスを世界中に広めた禅僧として知られている。世界各地にセンターがあるが、ここは彼が長年暮らした地であり、西洋で最初に設立された欧州最大の禅修寺院である。彼の本からこの場所を知り、「ドイツに行ったら絶対に行きたい!」とずっと思っていた。
南フランスのプラムヴィレッジは、ニューハムレット(慈嚴寺)、ロウワーハムレット(甘露寺)、アッパーハムレット(法雲寺)という3つの僧院から成り、私は今回ニューハムレットに滞在した。
プラムヴィレッジでは、全ての日常活動にマインドフルネスを取り入れている。朝晩の坐禅はそれぞれ30分程度であるが、その代わり食事、皿洗い、清掃、歩行、奉仕といった活動を瞑想的に行うのだ。言わば、日常禅。
ここでは、15分ごとに鐘かチャイムが鳴る。
その度に「止まる」ことをみんなで実践するのだ。
話していても、歩いていても、読書していても、一旦全てを止める。
呼吸に戻り、自分自身に戻る。
ティク・ナット・ハンの教えは、シンプルでありながら仏教の本質を捉えている。
彼の言葉は、優しさと慈愛に満ちている。
だから、この場所がこんなにあたたかいんだろうな。
さてさて、1日の流れはこのようになっている。
5:00~ 起床
5:30~ 坐禅やチャンティング
6:30~ バンブースティックエクササイズ
7:30~ 朝食
8:45~ 奉仕活動
9:30~ 法話
11:30~ 歩く瞑想
12:30~ 昼食
15:00~ 奉仕活動
17:30~ 夕食
19:30~ 坐禅やチャンティング
21:00~ 聖なる沈黙
美味しいビーガンのベトナム料理や朝晩の満点の星空が今でも忘れられない。
やっぱりアジア人だなぁとしみじみ。
そもそもここでは2週間滞在する予定だった。
マインドフルネスの実践を通して限りない幸せを感じ、
毎日いい意味で泣いていた気がする。
しかし、出発前日の夜。
ある些細なことから遠い昔のトラウマが蘇り、その時の強い感情が一気に溢れ出てきた。あまりの悲鳴に尼さんが駆け付けてくださり、話を聴いていただけることになった。
彼女と一緒に瞑想し、話していくうちに、22年間抱え続けてきたトラウマの種を、一度真正面から向き合うべきだと強く感じた。そのためには、もう少しこのコミュニティで自分自身に対する学びを深める必要があると思った。そこで、次週の予定やチケットを全てキャンセルし、もう1週間滞在することにした。
この決断は本当に良かったと後々気づく。
3週間目。
私はあらゆる感情と一緒に座り、微笑みかけられるようになった。
いろんな方から"Rinka, I love your presence!(あなたの存在は素敵だ)"
と話しかけられるようになり、私も自身の内側で目まぐるしい変化が起きたことを実感した。
呼吸することは、祈ること。
歩くことは、祈ること。
食べることは、祈ること。
日常行為の全てが、平和への祈りだ。
美しいプラムヴィレッジを後に、今日も学び、旅をする。