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短編小説

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記事一覧

短編小説:あの夜の星屑を集めて文通をしよう(後編)

朝食後、何もしないのは悪いと固持して私が淹れたアールグレイを飲みながら、先ほどのテーブル…

Rin
3週間前
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短編小説:あの夜の星屑を集めて文通をしよう(前編)

私の一日は、毎朝決まった言葉で始まる。 書いた覚えのない日記と変わらない一文から。 天球…

Rin
1か月前
8

短編小説:ナイトウォーカー

東京に来てから、僕は夜の散歩をするようになった。 もはや街に溶け込みすぎて、パトロール中…

Rin
2か月前
12

短編小説:チェックメイト

「チェックメイト、また私の勝ちだね」 「……もう一回、勝負しないか?」 彼はそんな負け惜し…

Rin
2か月前
7

短編小説:雨の中の出会い

頬が濡れた感触がした。 それは次第に広がっていき、腕も服も足も濡れていった。 ああ、雨降っ…

Rin
2か月前
12

短編小説:宵闇の喫茶店(後編)

満月夜のあんみつと雪隠れの抹茶 ここは「宵闇の喫茶店」。深夜の25時にならないと開かない秘…

Rin
1か月前
8

短編小説:宵闇の喫茶店(中編)

夕焼け黄金の檸檬ゼリーと薄明紅茶 ここは「宵闇の喫茶店」。深夜の25時にならないと開かない秘密の喫茶店。 店主は『月』という30代の男性。 営業時間は深夜25時〜朝の6時。夜明けまで営業しています。 この喫茶店では『夜』にまつわる色々な食材を使って様々なお茶や料理、デザートが出てきます。 ーカラン、コロンー 今日もお客様がいらしたようです。 本日のお客様は数時間前に告白をしてフラれてしまった男性。 これは苦い思い出になる、そう自嘲気味に笑っていらっしゃいました。 苦い…そ

短編小説:宵闇の喫茶店(前編)

深夜のコーヒーゼリー 〜月のアイスを添えて〜 ここは「宵闇の喫茶店」。深夜の25時にならな…

Rin
2か月前
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短編小説:想い香るカフェ

前編 その日、僕は猫背になりながら街を歩いていた。 夏の暑く強い日差しが肌をチクチクと刺…

Rin
2か月前
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短編小説:想い香るカフェ(後編)

コーヒの欄にはドミニカやコスタリカ、エチオピアなどがあり、また煎り方も深煎りなど選べるよ…

Rin
2か月前
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短編小説:雨のそらごと

その日は雨だった。 寒い冬の日ではあったけれど、いつもとさほど変わらない、ありふれた日常…

Rin
2か月前
6

短編小説:ルナ

満月の夜だった。 一年の中でも今日の満月は特別で世間では「中秋の名月」と呼ばれ、古くから…

Rin
3か月前
8

短編小説:遠いキミ

「ちゃんと食べれてる?」 「食べれてるよ〜本当、心配性なんだから」 消毒液の匂いが広がる…

Rin
4か月前
8

短編小説:夜はまだ明けない

時刻は深夜1時。 たまに暴走族の様な輩がバイクで大きな音を出して走り回る時間。 そんな時間に目が覚めてしまった。覚めたくなかったと言えば嘘になる。 なぜなら、別に覚めた所で問題無いからだ。 ただ思う事があるとすれば、覚めた所為で昼間に眠気が来る。それが面倒だなと思うだけ。 こんな事を一々考えていてはキリが無い。こんな事は当たり前の事柄だと思う他無い。時計の針が音を鳴らすことは無い。 電池が切れていて、動く為の力が無いからだ。それでも僕の部屋に居座り続ける。アナログ時計。かつ