Rin
※一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。 付き合う取り決めを交わした僕と葵は放課後の教室で色んな事を話していた。 「それじゃ早速だけど、壮馬のこと聞いてもいい?」 「幼馴染なのに僕に聞くことなんてある?」 僕は笑いながら葵に言った。 「あるよ〜誕生日とか血液型とか」 「好きな物とかは教えられるけど、流石に誕生日と血液型知ってるよね?」 「知ってるけど、改めて壮馬のこと知りたくて」 「わかった。いいよ」 僕がそう言うと葵はメモ帳代わりにスマホを
※一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。 誰もいない放課後の教室。 僕は葵との約束の時間まで自分の席で読書をしていた。 教室の外からは吹奏楽部の楽器を鳴らす音や運動部の準備運動をする声が聞こえてくる。その孤独と連帯の合いの子のような空気感は嫌いじゃなかった。青い空は、寂寥じみた音楽に似たものを無人の教室へと運んでくる。 どれだけそうやって過ごした頃だろう。廊下から聞こえていた他のクラスの音が止んだ。開け放たれたドアを通じて、僕の感覚は廊下まで伸
満月の夜だった。 一年の中でも今日の満月は特別で世間では「中秋の名月」と呼ばれ、古くから人々に親しまれているらしい。私は木々の間から零れる月明かりを頼りに森の中を独り歩いていた。どうしてここにいるのか、どこに向かっているのかもわからない。でも音を立てて吹き抜ける風が私の心細さと共鳴すると、より一層冷たく感じ、どこか安全な場所に避難しなければという気持ちにさせる。どれくらい歩き続けたのだろうか。さすがに疲れを感じ、近くの木の幹に体を預けるように座り、大きく深呼吸をした。 ふ
僕がその探偵事務所に向かうのは、日課のようなものだった。 近所に越してきた彼が、僕の家に挨拶に来たのがそもそもの始まりだ。 「どうも。ここに最近引っ越してきました。二条と申します。」 奥の目が伺えない深い色合いのサングラスをかけた彼は、二条と名乗った。外見の胡散臭さとは裏腹に礼儀正しい男で、家族ぐるみで彼と親しくなるのは時間の問題だった。 小学生の僕が彼の事務所に通うようになったのは、純粋な好奇心から。 二条が語る話を聞くためだ。 彼の話す内容は、同級生のものや先生のとも
※一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。 翌朝、僕は登校途中に空を見上げた。五月の空は高く、青い。もう少しで終わってしまうが、僕は五月が好きだった。それは昔、姉から五月病を嘘の意味で教わっていたことが関係していると思う。桜も散り、四月の忙しない時期を過ぎると人が落ち着ける季節になる。若葉を眺めたりして時間を過ごせるようになり、皆んなが少しのんびり屋さんになる。それが五月病だと、なんとも雅な意味で教わった。 姉は草木のように物静かな人だった。でも
時刻は深夜1時。 たまに暴走族の様な輩がバイクで大きな音を出して走り回る時間。 そんな時間に目が覚めてしまった。覚めたくなかったと言えば嘘になる。 なぜなら、別に覚めた所で問題無いからだ。 ただ思う事があるとすれば、覚めた所為で昼間に眠気が来る。それが面倒だなと思うだけ。 こんな事を一々考えていてはキリが無い。こんな事は当たり前の事柄だと思う他無い。時計の針が音を鳴らすことは無い。 電池が切れていて、動く為の力が無いからだ。それでも僕の部屋に居座り続ける。アナログ時計。かつ
※一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。 僕は自分を驚かせることなく、その生涯を送るものだと信じていた。 自分らしくないとか自分が信じられないとか、行動した後にそんな感想を持って驚くことなんてないと思っていた。だけど、その日の放課後、自分自身に驚くことになる。 新しい学年になり1ヶ月が経った。幼馴染の葵とは今年もクラスが別れてしまった。新しいクラスになじみ始めた頃、クラスの男子生徒数名により特定の男子生徒への嫌がらせが始まっていた。 公立の進
一条岬さんの『今夜、世界からこの恋が消えても』のオマージュ作品です。 もしも原作の2人が幼馴染だったら…… [私は高校2年生のGW初日に事故に遭いました。一週間が経つと前週の記憶をすべて失います・・・] 葵は眉をひそめた。 [この日記は、毎週欠落する記憶を補うためつけることにしました] 日記は2021年5月5日から始まっていた。 葵は最新の日記までスクロールし、手を止める。 スマホの画面で日記を確認すると3年が経過していた。 大学の帰り道、私は高校からの親友の美月と駅近く
「ちゃんと食べれてる?」 「食べれてるよ〜本当、心配性なんだから」 消毒液の匂いが広がる。 ペタペタとナースシューズの音がする。 そして目の前にある決まった食事。 僕の彼女の結衣は脳の病気で入院中である。 僕は結衣からこの事を聞かされた時、頭の中が真っ白になった。 「ねぇ、優斗?」 「なに?」 いつも通りの会話が一瞬にして凍りついた。 「私ね、余命があと3年なんだって……。」 「は・・・?」 僕には意味が分からなかった。 目の前で涙を流す愛おしい結衣。 「急だよね、私は
はじめまして、Rinと申します。 noteの投稿を始めるにあたって、自己紹介とnoteを始めたきっかけなどを紹介します。 自己紹介 ・20歳の専門学生 ・小説、音楽、アイドルが好きです ・趣味で推し活をしています noteを始めたきっかけ 専門学校の授業の一環として始めました。 元々はプリ小説というチャット式小説アプリで高校生の時から小説を書いて投稿していました。 高校生の時から4年間チャット式の小説ばかり書いていてチャット式小説に慣れてしまったのでプリ小説ではない別