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- 詩 -

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2020年10月の記事一覧

引き出し

自分の引き出しに入りきらないぐらいの

モノを持って

奥に何があるのか忘れたまま

ボクらはしあわせって呼べるのかな

大切なものをどこにしまったのか

わからないままで

ポケットにものを詰め込みすぎて

穴があいたみたいに

詰め込みすぎた心に

感情のブラックホールがあいている

真面目な死に損ない

朝が来て家を出る 仕事をして夜になる

安い缶チューハイのんでコンビニ夜食

夜が沈んで朝が昇る

階段を一段一段のぼるように

毎日を一歩一歩登っていく

真面目の死に損ないが地を這いながら

白黒の日々を一枚一枚飾ってく

溜まってゆく洗濯物

流しがカピカピに渇いてる

傘から雨の雫が垂れて

時計の針が進んでく

真面目な死に損ないが藁にしがみついて

急流の日々に流されていく

満たされたい

満たされたい

満たされたい 満たされたい

お腹が空く のどが渇く

満たされたい 満たされたい

お金を払う 物を買う

満たされたい 満たされたい

愛してると囁く 肌と肌を重ねる

満たされたい 満たされたい

朝まで眠る 心地よい布団で眠る

満ち足りない 満ち足りない

もっともっと もっともっと

溺れていく 沈んでいく

満たされたい 満たされたい

足るを知らない 学を知らない

満ち足りない 

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かんぺき

かんぺきじゃない自分を

手に入れよう

はじめてでも 失敗しても

大丈夫 明日は新品の一日

かんぺきじゃない自分を

受け入れよう

他のだれでもない自分を

だきしめて

きみはきみで、ぼくはぼくなのさ

それがこの世界のほんとうに大事なこと!

好き

好き

好きだって言った言葉の数

可愛くなれたらいいのにね

好きだって言われた言葉の数

あなたを好きになる

今日も近くのあなたを好きだって言う

明日も遠くのあなたを好きだって言う

言葉の数は真珠みたいに連なって

首飾りになってわたしとあなたを繋ぐの

指先からこぼれる "好き"

視線からとらえる "好き"

振り向いてこたえて "好き"

カメラの向こうにいる "好き"

好きで好きでぐち

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秋の匂い

あの頃の秋の匂いがしたけど

あの頃の秋はもう2度とこない

夢で見た子犬を探して土手にきたけど

もちろんいないものはいなかった

さみしい、さみしいとこぼした想いが

足にまとわりついて引きずっている

また明日、晴れるかな

秋風

秋風

風がとおった

秋のピンと冷たい風が

落ち葉と日差しを

すりぬけて

風がとおった

キンモクセイのにおいを

連れまわしながら

風がとおった

なんで僕はここにいるんだろう

何もしたくないのに

生きていく意味はあるのかな

僕が在(い)ればいいって

言ってくれた人のために

生きていればいいのかな

僕は何をすればいいのかな

僕は何がしたいんだろう

眠れない夜

眠れない夜

眠れなかった夜は どこにいくのだろう

月と一緒に空のむこうへ沈んでいくのかな

朝日がのぼりはじめて

みなかった夢は溶けて消えていった

夜中も 早朝も目覚めて

時計の針がのろのろと進んでいく

かと思えば時間がとまったかのように

眠りっぱなしになってしまう

不安定な夜と夜のあいだに

眠れない夜がきょうもまた空のむこうへ沈んでいく

月が空からおりてきて

月が空からおりてきて

むかしむかし 月が空からおりてきて
海のなかをおよぎました
月のかけらが海のそこに落ちて
きらきら光って輝きました

むかしむかし 月が空からおりてきて
森のおくでお散歩しました
月のかけらが土のうえに落ちて
きらきら光って輝きました

むかしむかし 月が空からおりてきて
街のなかでダンスをおどりました
月のかけらが窓ガラスにうつって
きらきら光って輝きました

むかしむかし 月が空からおりてきて

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