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解説 神よ、手に鋤を持たせたまえ(第二説教集21章4部) #197

原題:An Homily against Disobedience and wilful Rebellion. (不服従と反乱を戒める説教)

第4部の解説をします。聖句でいうテーマはこれでしょう。

鋤に手をかけてから、後ろを振り返る者は、神の国にふさわしくない。(ルカによる福音書 第9章62節)

第4部のポイントは次の4点です。
①神は不服従や反乱を忌み嫌う
②聖書にみる不服従と反乱への罰
③反乱に正義はない~歴史に学ぶ
④結びの短い祈りと一同に唱える祈り

第4部は第3部から連続したものとみることができます。振り返りはなく、いきなり本題に入ります。神が不服従や反乱をどれほど忌み嫌うかについて、聖書から学ぼうとされます。

反逆者が自らを高いものとして武具で身を固めて神や君主や国家に対すべく戦場に立つとき、全能の神がどれほどに不服従や恣意的な反乱を忌み嫌われるかをみなさんにお示ししましょう。そのために永遠の知恵が書き記された聖書にあるいくつかの逸話を紹介するのは的はずれではないと思います。

聖書にあるさまざまな事柄が紹介されますが、そのなかの最も象徴的なものとして、「サムエル記下」のアブシャロムの例が詳しく述べられます。彼は反乱を起こして神の罰を受けます。

アブシャロムは極めて善良な人物であり、王の息子という高貴な身分にあって人々に愛され、ダビデ王自身からも大いに愛されていました。それは彼の反乱をさておくとしても、彼の命は救うようにと王が命令を出すほどのものでした(サム下18・5)。(略)これによって末代まで語られるのは、魅力ある人柄や高貴さがあっても、人々から愛されていても、王からの愛を受けていても、反逆者は定められた罪から逃れられないということです(同18・18)。


神は反乱を忌み嫌うとされることは、同じ武力による争いでも、外敵との大義ある戦争において神の加護があるとされていることと対比され強められます。

戦争とは確かに恐ろしく残酷なものではありますが、それでも神は外敵との律法に適った戦争において、多数に対抗する少数に栄えを向けられます。しかし神は本来の君主に対して反逆者となる臣民には栄えを向けられません。彼らは偉大でも高貴でもなく、数が多いわけでも確固としているわけでも機知に富んでいるわけでもないので、常に打ち破られて恥ずべき最期を迎えます。戦争はあまりに恐ろしいもので人類にとって極めて破壊的ではありますが、神はこれほどまでに反乱のほうをより疎まれています。

反乱にはまったく正義がないということについて聖書の引用を多く示した上で、第4部では当時のイギリス国内で起こった反乱に触れ、反乱そのものの悪を戒めるというよりは、これを国内の問題と関わらせて人々の記憶に訴える説教が展開されます。いつの世も同じという感さえあります。

あらゆる国の歴史をひも解き、わたしたちの国の年代記にも目を通してみればわかります。(略)正統にして律法に適った君主に対する反乱に神が栄えを向けられた例をみなさんが見出すことはないでしょう。それどころか、反逆者は打ち負かされて殺害され、捕らえられて恐ろしい方法で処刑されています。

国家を正すということは、古くからよくある反乱の大義名分であったのですが、現代では宗教が反乱の名目となっています。(略)宗教それ自体は間違いなく善であっても、また仮に反逆者がもとは善良な人で従順な臣下だったとしても、そして反乱が国を正すことや立て直すことの適切な手段であったとしても、それ自体は考えられうる限りでのあらゆる大いなる破壊です。

確かなこととして、反逆者が偽りに改革と叫ぶものは、自分の思うままに国家を変質させて道を誤らせるだけでなく破滅に至らせもするものです。その真の姿が現れるのは反逆者が潰走するときや、彼らがほんの少しの間だけ政権の立場にあってあらゆるものを破壊する改革を行い、そこにいるすべての人に悪を行い、まだ生まれて来ない子どもがそれを悔い、長い年月ののちに彼らを呪うときであるのです。

反乱には正義がなく、反乱者は罰せられ、後世において厳しく評価を受ける。反乱は神と国家と民衆に対する大きな罪である。悪魔の誘惑に負けず、神が遣わした君主に服従して生きるべきである。結びの祈りのあと、第3部までと同じく、一同での祈りが唱えられます。


今回は第二説教集第21章第4部「神よ、手に鋤を持たせたまえ」の解説でした。次回はこの試訳をお届けします。


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