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【簡単あらすじ】明智小五郎事件簿Ⅰ(微ネタバレ)【江戸川乱歩/集英社文庫】

日本を代表する名探偵の一人、明智小五郎が解決する事件簿を事件発生順にならべたコレクションの一作目。

退廃的な空気が漂う大正9年9月初旬、D坂にある白梅軒という喫茶店で知り合った私と明智小五郎は、偶然、喫茶店の向かいの古本屋で発生した殺人事件の第一発見者となる。

私が推理したところ、明智小五郎が犯人だが…



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『はじめに』
暑い毎日もようやく落ち着き、時季も読書の秋に近づいてきまして、読書もしやすい季節になりました。
ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいた本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

自称素人探偵明智小五郎が挑んだ、5つの謎をまとめた作品です。


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1.D坂の殺人事件

古本屋の細君が何者かに殺された。
犯人とおぼしき人を見た二人の証言者は、同時に見たにも関わらず、一人は「黒い着物」・もう一人は「白い着物」を着ていたと、全く正反対の証言をする。
犯人はどうやって逃走したのか。

2.幽霊

実業家の平田氏は、ある老人から執拗に狙われ続ける。
その対策として、格安で長屋を警官一家に貸したり、屈強な書生をそばに置いたりしていた。
その老人が亡くなったと知り、やっと一息ついた平田氏だったが、その後、あり得ないことが次々に起こるようになり…

3.黒手組

私の伯父は会社の重役であり、財産家である。
あるとき、その伯父の娘が行方知れずとなってしまう。
その当時、黒手組と自称する賊徒の一団が都で活発に活動していた。黒手組の誘拐なのか?それとも別の誰かの仕業なのか?

4.心理試験

ある苦学生が、財産目当てに老婆を殺害する。
警察の捜査は苦学生の想像通りに進むが、名判事で有名な笠森氏が担当することになる。
笠森氏は、苦学生ら容疑者に心理試験を受けさせることにする。
苦学生は、殺害方法を考えた時と同様に、この心理試験にも膨大な対策を行って臨むが…

5.屋根裏の散歩者

郷田三郎は、世の中の何をやっても面白く感じないという一種の精神病者である。
東栄館という新築の下宿屋に引っ越した後、東栄館の秘密を見つけた郷田は、ある行動を起こしてしまう。

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一度切れても、また偶然点灯することも多かったという電灯の仕組みや、現在広く使用されている性的嗜好のSとMは、マルキ・ド・サド侯爵と「毛皮を着たビーナス」の著者・ザッヘル・マゾッホが語源になっている・娯楽百科全書という書物の存在・大正末期の映画館の席割など、現在とは違った作品の舞台背景をイメージしながら、また現在ではなじみの薄い用語を調べながら、作品を読み進めることになるので、とても新鮮な読了感を感じることが出来ます。

現代ミステリーには無い感覚を味わえる作品で、とてもおススメです!

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P206 - 人財教育/人事労務コンサルタント -
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