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泡沫蓮
2020年8月30日 01:14
世界の解は一つだけ遡れないほど遙かから定め置かれたこの公理世界の解は一つだけ僕らは随分早くから悟り慄き焦りだす世界の解は一つだけ盾つき異を唱えることもはた反証する術すらない世界の解は一つだけ受け入れられない僕たちはやがて寓話を作り出す世界の解は一つだけ或いはどうにか変えようと目に入る全てに手を伸ばす世界の解は一つだけ僕らの思考を嘲笑い試行の全ては無へと帰
2020年6月19日 07:19
君さえ存在しなければ生まれなかった争いが嘆きが恨みが哀しみがどれほどあったというのだろう君さえ存在しなければ世界はもっと穏やかにやおら移ろい流れゆき手を取り合ったことだろう君が発する信号に一縷の疑問も挟まずに過去も現在(いま)も未来(これから)も従い続けてゆくのだろう怨嗟の狼煙は四方に上がりやがて業火と成り果てる焼き尽くされるその前に気づくのだろうか僕たちは
2020年6月14日 07:38
透明な世界にひとり僕は取り残されたらしい何処までも澄ました空を見て堪え切れずに大地が笑った透明な世界で僕はひとり膝を抱えて座り込む百夜の星を掻い綰(わぐ)め玉章(たまづさ)にして風にかけた透明な世界の僕はひとり答え合わせの旅に出る潮(うしお)は万古の謎をうたい深淵に投げ入れ蓋をした透明な世界と僕はひとり終焉の到来を希うそれを横目に太陽は四肢を撫でると消え
2020年6月17日 06:59
君は僕の手を取って奈落の底へ突き落した僕は君を見上げ勝ち誇ったように両手を挙げる君は僕から目を反らしぎゅっと拳を握りしめた僕は君との思い出にサヨナラと呟き蓋をする君は僕への報復か身魂尽くまで叫び続けた僕は君に押し当てる落伍者という烙印を君は僕を離さない全てを糺し終えるまで―――目まぐるしく移り変わる空が運ぶ突き刺すような陽の光も不躾に染み込む雨も