君は僕を詠う

君は僕の手を取って
奈落の底へ突き落した

僕は君を見上げ
勝ち誇ったように両手を挙げる

君は僕から目を反らし
ぎゅっと拳を握りしめた

僕は君との思い出に
サヨナラと呟き蓋をする

君は僕への報復か
身魂尽くまで叫び続けた

僕は君に押し当てる
落伍者という烙印を

君は僕を離さない
全てを糺し終えるまで

―――

目まぐるしく移り変わる空が運ぶ
突き刺すような陽の光も
不躾に染み込む雨も
無用な感情を運び込む風も
みんなみんな大嫌いだった

僕が与えた幽明の境で
君は安息を手に入れる

あと一歩の勇気が出ない僕を
そこで高らかに笑いながら

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