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ちょっぴり贅沢なトマトさば缶 シチリア島のミネラル感豊かな赤ワイン

百花繚乱のサバ缶。
私の過去のNoteにも様々なバリエーションのものが登場。最近のものではハリッサの辛味の効いたハリッさば缶の美味しさが印象的。辛味でサバの旨味が際立つ。
最近、イワシは豊漁、対してサバが激減といったニュースを目にする。サバ缶も値上げが心配…。

・ハリッさば缶

・魔性のカリーケチャップ鯖缶

・背徳のガーリックバター鯖缶

・CoCo壱番屋さばカレー缶

・さばオリーブオイル漬けガーリック風味

今回は”美味しいトマトとさば”。信田と書いてシダと読む、信田缶詰の商品。定価500円と缶詰としてはお高め。

同社は千葉県銚子にある缶詰会社で創業は1905年(明治38年)、つまり創業118年。以前、同社のサバカレー缶にサルディーニャ島の白ワインが素晴らしい相性だった。

今回はトマト風味。完熟した真っ赤なトマトがたっぷりと入っている。

サバの身の芯までトマトが染み込んでいる。口にすると、ほぐれるサバの身の間からサバの旨味とトマトの酸味が交互に味覚を刺激するエンターテインメント。普通のサバ缶の2倍の価格だが、その価値はある。

真っ赤で濃厚な味わいのトマトの味を思い浮かべ、セラーから取り出したのは赤ワイン。土着品種のものを3種。イタリア シチリア島のネレッロマスカレーゼ品種、カラブリア州のガリオッポ品種、ギリシャのクシノマヴロ品種。実食の結果、特筆すべきはシチリア島のネレッロマスカレーゼ品種との相性。トマトの酸味にワインの明るい果実味が調和。加えて、唐辛子を使った郷土料理が多いカラブリア州の赤ワインには、缶詰にタバスコを振ると相性が一気にアップしたのも興味深い。

さて、缶詰とそれぞれのワインの相性について。


クズマーノ, アルタモーラ, エトナ ロッソ, シチリア, イタリア, 2019, 2,464円
Cusumano, Alta Mora, Etna Rosso DOC,

飲み干してしまった後、グラスに入れたワイン写真を撮っていなかったことに気付く…

このワインはヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山の北斜面の畑で栽培されたブドウから造られる。海と山のミネラルの恵みを感じたい。
香りにはよく熟したプラム、快活なベリー果実香、バラやラベンダーの微かにハーブや潮の香り。微かにスモーキーなニュアンスも。
味わいには完熟、充実の風味ながら抜け方は軽快で上品さすら感じる抑制された果実味。こぎみよいメリハリを与える酸味、ほのかに塩気。タンニンは穏やかで絶妙な抽出の塩梅。クリーンでフォーカスの合ったワイン。

美味しいトマトとさば缶にワインを合わせる。ワインの明るい果実味にトマトの酸味が調和。またワインのほのかな潮の香りに乗って鯖の旨味が活き活きと立ち上がる。酸味と旨味のエンターテイメント。相性: ★★★★☆


リブランディ, ドゥーカ サンフェリーチェ, チロ DOC, ロッソ リゼルヴァ, カラブリア, イタリア, 2,440円
Librandi, Duca Sanfelice, Ciro DOC, Riserva, Rosso Classico Superiore, Calabria, Italy, 2019, 14%

リブランディはティレニア海とイオニア海に挟まれたイタリア半島のつま先部分に位置するカラブリア州を代表するワイナリー。
古代ギリシャ、オリンピックの勝者に与えられたワインはガリオッポ品種から造られていたという説もある。そのガリオッポで造られたワイン。
香りには完熟したブラックチェリー、チェリーリキュールの果実の凝縮感。黒胡椒のスパイスのヒントやビターチョコレート。ヴェジェタルなニュアンスや穏やかにハーブ。
味わいの果実味の凝縮感は思いのほか軽やかで甲高く、鼻腔をスパイシーなノートが抜ける。明瞭な酸味、やや粗さのあるパワフルなタンニン。余韻にミネラルのニュアンス富む。

美味しいトマトとさば缶に。ワインの甲高い果実味はトマトの酸味にはよく合うものの、鯖の旨味には今ひとつ入り込まない。ケンカはしないがもう一歩。相性: ★★★☆☆
このワインは唐辛子を料理によく使うカラブリア州のもの。神の雫でキムチに合うワインとしてこの生産者のガリオッポ品種を使ったワインが取り上げられた。そこで缶詰にタバスコを振って辛味を追加しワインに合わせる。適度な辛味が鯖の旨味が引き立てる。そして辛味によりワインのやや甲高い果実味の調子がマッチし、サバの旨味にも入り込む。相性: ★★★★☆


キリ・ヤーニ, カリ・リーザ, P.D.O.アミンデオン, マケドニア, ギリシャ, 2017, 2,860円
Kir-Yianni, Kali Riza, Greece

今回のワインは自根で育つ樹齢60年を超えるクシノマヴロから造られる。
ちなみにクシノマヴロはギリシャ語で「酸と黒」の意味を持つ、ギリシャ固有の品種。
香りにはドライフルーツ、プルーン、ブルーベリージャムの濃縮した甘やかな果実香に、ドライローズのフラワリーなタッチ。黒胡椒と茎か微かにヴェジェタルなスパイス。
よく溶け込んだバニラ香、海岸を歩いているような鼻に微かな渇きを覚える潮の香り。
味わいにはカドの取れた滑らかな口当たりの果実味ながら、タンニンはまだまだ力強くじっとりと舌に残る。塩味が強く舌に残るのが印象的。果実味の熟成感、潮のニュアンスに富む魅力的な海の国の赤ワイン。

美味しいトマトとさば缶に。ワインのタンニンとパワーのあるやや甲高い塩気に、缶詰が圧倒されてしまう。ケンカはせず食べていて心地よいものの、余韻は完全にワインのタンニンの独壇場。相性: ★★★☆☆


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