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【ただいま増補改訂中】 『製本家とつくる紙文具』 ができるまで 06 | 表紙、どれにする?
11月中旬、『製本家とつくる紙文具』の本文レイアウトがあがったとき、同時に表紙案も届いた。便宜上「表紙」と書いているが、ここではジャケットのことを指す。写真をメインにすることは打ち合わせで決めていたので、撮影した3パターンの写真を使って、3パターンのレイアウトがあがってきた。
本の顔であるジャケットは、売上に直結する。だから、表紙を決める段階になると「営業の意見を聞いてみましょう」というフレーズが聞かれる。デザインの精度とか内容との親和性とか店頭での新味とか、そういうことをひっくるめて「商品」の顔としてどうか、という視点で評価される。
こちらがデザイナーの守屋さんがつくってくれた3つの表紙案だ。わが家のインクジェットプリンタで出力しているので、画質が粗くて色が濁っているのは目をつぶっていただきたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1734520698-cuNeT67iKsR0Ck82vSwjUMoa.jpg?width=1200)
タイトルまわりのデザインは既刊本を踏襲しており、ほぼ同じ。だから、どの写真にするか、という判断になる。左は、白板3枚でつくったコーナーに作例を集積しており立体感がある。右は、白板の平面に作例を並べており安定感がある。中央は、右の案から作例を増やしたもので、作例が見切れるくらいボリューム感がある。「どれも似てるね」なんていわないで。表紙というのは、このくらいの近似値でよりよいものをと練られているのだ。
それぞれにいいから悩ましく、わたし自身は左が好きだけど、中央が選ばれそうかな、なんて思っていた。そして、編集担当の山本さんがグラフィック社の営業の方々の意見を取りまとめてくださった結果……左の案に決定!
当初は「帯をつけようか」という話もあったが、このデザインならば本の内容が充分伝わるからいらないね、ということになった。わたしは帯をつけないほうが好みなので、ちょっとうれしい。
一方、袖(ジャケットの折り返し部分)には何か要素を入れようということになり、表紙側の袖には『週末でつくる紙文具』の英語版からヒントをもらって作例リストを、裏表紙側の袖には新章の作例の画像を入れた。
それからもう一つ、本体表紙については、既刊本『週末でつくる紙文具』のデザインをブラッシュアップすることにした。掲載している作例の線画をずらっと並べたデザインで、とても気に入っている(当初は「これを表紙にする?」という話もでたくらい)。ジャケットに比べるとあまり日の目を見ない部分だが、もし手に取る機会があったらぜひ見ていただきたい。
ちなみに、ジャケット、本体表紙、帯などをすべてひっくるめて「表まわり」と呼ぶ。表まわりは本文より少し遅れて進行する場合が多いのだが、今回は守屋さんの尽力でもりもり進み、本文と同時に印刷所へ入稿した。
ところで、増補改訂版のタイトルについて触れてこなかったので、ここで記しておこうと思う。そもそもタイトルを変更することは、増補改訂の前提条件だった。そこで、新章の内容が固まったあたりから、山本さんとアイデアを交わしていた。
既刊本『週末でつくる紙文具』に何かを加える? それとも、既刊本とはがらりと変えて欧文にする? あるいは、新章の内容を強く打ちだす? などなど、あれこれ検討した。
最終的に選ばれた『製本家とつくる紙文具』という案を思いついたのは、実をいうとわたしではなく、わたしの家族だった。あーでもないこーでもないとこねくりまわしているところへ、「製本家とつくる、ってどう?」とさらっとひとこと。「それいいね」とさらっと採用。山本さんにメールを送ると、2時間後には「営業含めて、満場一致で賛成です!」と返信があった。それまでのこねくりまわしは何だったんだという急展開。煮つまったときは、新鮮な空気を入れるのがいちばんだなあ。
さて、ここでお知らせです。2024年12月22日より、東京・西調布にある手紙社の書店「TEGAMISHA BOOKSTORE」にて、『製本家とつくる紙文具』の先行販売が決定しました!
どこよりも早い販売で、もしかしたらわたしが見本誌を手にするのと同時かも(笑)。初日の12月22日は「コプティック装」のワークショップを開催しているため、わたしも在店しています(午後の部はまだお席があります!)。お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りくださいませ。
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『製本家とつくる紙文具』 ができるまで 過去記事一覧はこちら
● 『製本家とつくる紙文具』永岡綾(グラフィック社)
● 英語版『Japanese Paper Craft』Aya Nagaoka(Hardie Grant Books)
● フランス語版『MANUEL PRATIQUE DE PAPETERIE JAPONAISE』Aya Nagaoka(Le Temps Apprivoise)
● ドイツ語版『JAPANISCHES PAPIERHANDWERK』Aya Nagaoka(Haupt)